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最終更新:2003年7月27日

アメリカに来る君に

スミルノフ教授が滞米時代に友人に宛てたアメリカ留学マニュアル

目次

  1. 出勤時間と休日
  2. ビザ取得までの手続きの流れ
  3. 住居について
  4. 電話
  5. 自動車
  6. AAA(トリプル・A
  7. 運転免許
  8. 自動車保険と損害賠償保険
  9. 銀行、クレジットカ−ド、とりあえず必要な資金
  10. 渡米前にしておいた方が良い手続
  11. 引越荷物の発送
  12. 眼鏡とサングラス
  13. 食生活
  14. 衣類
  15. 持ってきたほうが良いもの
  16. 英語について
  17. 夜は明るい
  18. 健康について

アメリカ留学マニュアル−リョウマ君への手紙

拝啓

リョウマ君、元気ですか。 私の仕事もそろそろクライマックスを迎えました。 後任に君が来てくれることになったので、僕はとても安心しています。 渡米の準備は進んでいますか。 今回は、君の知りたがっていた、こちらの生活の様子や、手続きの流れなどについて、思いつくままに書いてみようと思います。

その1:出勤時間と休日

基本的にうちのラボはフレックスなのですが、君の属する事になる実験チームの者は、朝8時に出勤しなければいけない運命です。 実際には7時半頃家を出て、8時過ぎに着きます。 チーフテクニシャンのスティ−ブはもう来ていて、今日はお前はこれこれをやってくれ、と指示をくれます。 それから実験着に着替えたり、コ−ヒ−を飲んだり、スポ−ツ談義をしたりして、8時半頃からぼちぼち測定機器のキャリブレ−ションを始めるといった感じです。 フェローの中では大抵私が一番乗りですが、それでもすでにスティ−ブはもちろん、ボスや秘書の面々もすでに出勤しています。 ビボの実験をやっているかぎり、1日の仕事は大抵5時に終わります。 遅くても、6時、最初慣れないうちは極くまれに7時ということもあるかもしれません。 ビトロの実験になると、時々真夜中までかかることがあります。 そんな時は、ラボにガードマンを呼んで、駐車場まで送ってもらうこともあります。

完全週休2日です。 アメリカは、ホリデ−といっても学校や公共機関だけ休みということがしばしばで、実際に休日となるナショナル・ホリデ−は日本より少ないです。 5月のメモリアル・デ−、7月の独立記念日、9月のレイバ−・デ−、11月のサンクス・ギビング、そして12月のクリスマスといったところがビッグ・ホリデ−で、たとえば土日をからめて(時には木金も休みにしちゃおう!というボスの一声で)結構長いバケ−ションを取れたりします。 また、年に2回は学会絡みで堂々と旅行に行けます。 それ以外に休暇を取る場合には、休暇届を出すことになっており、1年で2週間(14日)の有給休暇を取れると聞いています。 もちろん、研究の成果を出しさえすれば、それ以上休んでも誰も文句を言いません。 ただ、日割計算で給料が引かれるだけです。 休暇を取ることに関しては、日本とは正反対で、ボスも含めて誰もいやな顔ひとつしないどころか、どんどん取ってリフレッシュしろという感じなので、心配無用です。

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その2:ビザ取得までの手続きの流れ

そちらのボスが、正式に君を推薦する旨の手紙をうちのボスに出すと思うのですが、それを受けて、君のところにこちらのラボからIAP作成に必要な申込用紙が届くと思います。これに名前とか学歴などを書いて、同行する家族についての情報や、英文の大学卒業証明証、英文の履歴書などと一緒に提出します。 その後、IAPやイミグレーション宛の手紙(研究目的だとか、家族は誰々が同行するとか書いてある)などが発行されて、君のもとに送られます。 君はそれに、政府間交換留学生であることの証明書(これがなんのことがわからないことが多いようなのですが、要するに君のボスが一筆書いてくれる書類です。紙切れ一枚。)、場合によっては銀行の残高証明(英文)、あとどんなものが必要だったか忘れましたが、それらを添えて大使館にビザ申請することになります。 というようなわけで、このような実にのんびりとした書類の往復リレーを行っていくわけです。

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その3:住居について

私どもの場合は、こちらに着いてから2日ほどホテルに泊まり、その後10日ほどアパートのゲスト専用ルームに住みました。 その間に、ここのアパートも含め、2、3のアパートを見学した後、結局ここに決めました。

ここは、ラボの東方向へ車で約30分ぐらいのところです。 ラボはまさにスラム街の真中にあるのですが、この辺までくると、さすがに治安は問題ありません。 うちのアパートは比較的安いので、黒人、エジプト人、インド人、中国人、ブラジル人、ポーランド人なんかも住んでいます。 アパ−トの周りは芝や木々で覆われ、リスや野ウサギがうようよいますし、時にアライグマ、まれにシカの親子が遊びにやってきます。 カナディアン・グ−ス、カ−ジナル、ブル−ジェイなどの鳥もたくさんやってきます。 夕方には子供達もたくさん遊んでるし、ベビ−カ−を押しながら散歩する人もいます。 隣接して公園があり、無料のテニスコ−トもあります。 徒歩で行けるような距離にはショッピング・モ−ルはなく、車の運転が必要不可欠です。

多くの日本人留学者は、ここよりさらに15分ぐらい東のところに集中して住んでおり、そこまでいくと白人ばかり住んでいます。 ここに日本人が集まる理由は、やはりまわりが白人ばっかりであること、アパートの見た目が良くて高級感を感じること、それとこの地区の小学校が外国人児童の英語教育のクラスを持っているので、子供の教育を考えて、ということらしいです。 中には徒歩でショッピング・モ−ルに行けるところもありますが、毎日そのモールだけですべて済むとは考えられないので、どっちみち車は必要不可欠です。

家賃は私たちのところは、2DKで、月559ドル。 これにはガス代、暖房費、水道代も含まれています。 電気代だけは別で、使った分だけ電気会社から請求がきます。 だいたい月30〜40ドル、夏はク−ラ−を使う分だけ少し高くなります。 車のガレージ代は、1台月32ドルですが、屋外はどこに止めてもタダです。 部屋には、冷蔵庫(1ドアの旧式タイプ)と自動皿洗い器、ディスポ−ザ−がついています。 洗濯は共同のランドリ−・ル−ムで行い、1回の洗濯機・乾燥機の使用につきそれぞれクォーター2枚(75セント)かかります。 屋内屋外のプールやフィットネス・ル−ムがあり、床屋、美容室があります。 クリーニングがあったのですが閉店してしまいました。 レストランと小さな売店もあったのですが、現在休業中で、近日再開するようです。

金のかからない節約ライフを送るなら、うちのアパ−トを推薦しますが、こちらに来てから、ご自分の目で確かめてからでも遅くはないと思います。

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その4:電話

月の電話代は、だいたい50〜100ドルといったところですが、もちろん日本にどれだけかけたかによって大きく左右されます。 近距離電話に関しては、ほとんどアメリテックという会社の独占営業状態ですが、長距離・国際電話に関しては最大手のAT&TやMCI、スプリントといった会社がが熾烈な競争を繰り広げています。

電話は電話で申し込みます。 私たち英語が母国語でない人間にとってはつらいことですが、アメリカは電話社会です。 申し込むと、いろいろなオプションについて次々と質問されるので、まず無理だと思います。 私も英語が堪能な先輩にやってもらいました。 私ももう渡米して2年ですし、電話帳を読んでいろいろオプションについても学んだので、今度はできると思います。

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その5:車

アメリカの中古車は高いです。 2〜3年落ちの車でも新車とあまり変わらない値段ですし、10年落ちでも新車の半額ぐらいしたりします。 しかし逆に言えば、日本の中古車が安すぎるのかもしれません。 日本では5年も経てば値が無くなりますが、アメリカ人に言わせれば、立派に走るのにどうして価値が無いのか?ということになります。 確かに自動車というものは走ってなんぼのものであって、走るのに価値がなくなる日本の方がどこか間違っていると思います。

もうひとつ言及したいのは、アメリカで中古車を買うと修理代でかえって高くつく、という噂についてです。 確かにアメリカでは日本に比べて故障が多いかもしれませんが、それはだいたい乗る距離が比べものにならないぐらい違うし、こちらは道路もガタガタだし、冬は融雪剤を撒きまくるし、といった様に車が壊れやすい条件が揃っているからだと思います。 自動車も機械ですから、いつかは故障するのは当たり前です。 そのうちに慣れてしまい、閉まらなくなったドアを左手で押さえながら運転して帰ってきた話を笑いながらするような大らかな気持になれます。 もし道路の途中で動くかなくなっても(私はそのような体験は一度もありませんが)、すぐにポリスも助けてくれるだろうし、結局はAAA(日本のJAF)に電話すればいいことなのです。 自動車を生んだ自動車王国ですから、部品は腐るほどあるので、修理に時間もかかりません。 個人的な意見ですが、修理代だけで新車代を凌駕するようなことはないと思います。

私は、まず1台目は先輩から6年落ちのトーラスワゴン(当時の走行距離約9万マイル)を破格の安値、2千5百ドルで譲ってもらいました。 友達は、同じ年代のト−ラスワゴン(走行距離10万マイル以上)を確か4千ドル以上でアメリカ人から買ってますから、お得な買い物であることがお分かりでしょう。 これまでにはオイル漏れ、ヘッドランプ切れ、ドアの取ってがとれる、などといった、ほとんど気にならない程度のトラブルがありました。 また、融雪剤で車底のハンドルのシャフトがやられて総取替しましたが、それでも修理代は全部合わせてこれまで600ドルぐらいです。 走行距離は現在10万5千マイル、エンジンはほぼノ−・トラブル、現在私の通勤に使ってますが全く問題ありません。 最近はエンジンも快調ですし、まだまだ乗れるのではないかと思い始めました。 フロリダまで乗っていくのは無理としても、毎日通勤(往復約18マイル)に使っていても問題ないし、これがあると大きな荷物を運ぶのにも便利ですし、もし君がいやでなければ、そしてお金の節約をしたければ、是非私から買ってください。 もし、もっと新しい車が欲しいとしても、とりあえずこれを乗っててもらって、その間にゆっくり良い物件を探すというのが、賢い方法だと思います。

もう1台はアメリカ人から4年落ちのホンダアコード(当時の走行距離約6万8千マイル)を9000ドルで買いました。 現在は約8万5千マイル、これまでに前輪のタイヤを取り替え、バッテリ−も新品に替えたばかりです。 私が出勤中に妻が使っているのと、それから長距離運転は主にこれを使っています。 まだまだ走ると思います。

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その6:AAA(トリプル・A)

AAAは日本でいうところのJAFに相当しますが、比べ物にならないぐらい大きな組織で、庶民にも圧倒的に浸透しています。 基本的に、万が一車が故障して動かなくなったときに助けに来てくれるのを期待して入会しますが、他にも様々な事業を行っています。 例えば、アメリカ・カナダ全国のホテル・モ−テルを網羅したツア−・ブック(観光情報やレストラン紹介も載ってる)やすべての都市のマップがいつでも無料でもらえます。 長距離ドライブ前には、目的地までの道のりを示した地図を作ってくれるし、道路の混雑状況や工事中の場所も教えてくれます。 モ−テルの予約も含めて私は車での旅はすべてAAAのお世話になってます。 その他、ホテルや飛行機の予約、いろんな催し物の格安チケット販売、自動車保険なども取り扱っています。 年会費は、ひとり約40ドル程度です。

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その7:運転免許

国際運転免許証があれば、こちらに来てからすぐに運転することができます。 ただし、この州での有効期限は原則1年間です。 運転免許証は、身分証明書(ID)として常に身に付けていなければいけないものなので、少なくとも君はこちらに来てからすぐに試験を受ける必要があります。 試験は、筆記試験と実地試験です。 筆記試験は簡単で、たぶん日本語で受けることができます。 実は私が受けた時は日本語の問題用紙が品切れで、泣く泣く英語で受けました。 ドイツ語の問題用紙はあったので、ドイツで受けるか?って試験官に聞かれましたが、さすがに学位の語学試験でドイツ語一番の私も遠慮しました。 英語で受ける場合はもちろん辞書OKですが、きれいな辞書でないとカンニングを疑われます。 国際運転免許証があれば、筆記試験の後、同じ日に実地試験も受けることができます。 寂しい道路を一周してきて、簡単な車庫入れをするだけです。 合格すれば、その日のうちに免許を貰えます。 国際運転免許証がない場合は、筆記試験合格後、仮免許を申請し、実地試験は後日ということになり、ちょっと面倒ですので、是非国際運転免許証を申請なさって、持参してください。

余談ですが、小さい子供はかならず専用のチャイルド・シ−トを備え付けて乗せることが義務付けられています。 そういうところはうるさいです。 ちなみに、最近、どっかの都市で日本人観光客が、路上駐車させた車の中に自分の子供を留守番させて(アメリカ人がいうには置きざりにして)買い物にいったところ、幼児虐待で逮捕されるという事件がありました。

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その8:自動車保険と損害賠償保険

私は、州最大手の保険会社の自動車保険に入りました。 車の種類や新旧によって値段は異なるのですが、2台で半年分1000ドルぐらいです。 私が実際に事故を起こした経験から、この保険会社の利点をあげると、クレームオフィスもうちの近所にあって便利、相手も同じ保険会社である可能性が高い、その場合対応は極めて迅速、実際なんの小難しい手続きもしなくて済んだ、さすがに保険王国だけあってプロフェッショナル、どんなことがあっても君たちを守ると言い切った、といったところです。 欠点は、日本での運転実績が全く考慮されないので割高、英語で対応するのがおっくうなところです。 日系の保険会社はこれよりもおそらく安く、日本での無事故証明を生かせるものもあるようです。 日本語で対応できるというのが最大のメリットです。

実は、自動車保険の他に、日系保険会社の損害賠償保険にも入りました。 例えば、上記の自動車保険は、保証額は必要最低限のものなので、万が一、大きな怪我をさせたとか、死亡事故を起こしてしまったら、とてもじゃないが対応しきれないのです。 実際に自分が自動車事故を起こしたのと、アパートの他の部屋でちょっとしたボヤがあったのをきっかけに、訴えられでもしたらとても損害賠償を払えないと痛感しました。 私が入ったのは、日系の会社の海外駐在員向けのもので、基本的には年間3万5千円で、3億円までの面倒をみてくれます。 他にオプションで、自動車保険や健康保険などがありますので、あるいは自動車保険もこれで入ってもいいかもしれません。 しかし、たとえ自分で勝手に入った自動車保険でも、損害賠償が相当高額になってその自動車保険でカバーしきれない場合には、ちゃんと面倒みてくれるそうです。 ○○カード会員(年会費約1万円)であることが前提です。

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その9:銀行、クレジットカ−ド、とりあえず必要な資金

(1)とりあえず

私はとりあえず200万円分(当時約20000ドル)のトラベラーズチェックを持ってきて、それですぐに銀行口座を開きました。 ちなみに、トラベラーズチェックは、是非前もって銀行に予約してから購入してください。 さもないと、いきなり行っても銀行はびっくりするだけで、そんな大金のチェックはなかったり、あっても店中からかき集めた少額のチェックを何十枚も渡されるハメになり、そうすると、こっちで口座を開くときに、窓口で延々とサインし続けるという事態に陥ります。

さて、この私の約2万ドルのうち約1万ドルはアパートの敷金家賃や車などですぐに消えました。 生活そのものは、ラボからの給料でなんとかなると思います。 その他、旅行などのお楽しみは、貯金次第ということになるでしょう。

(2)アメリカの銀行口座

銀行口座は、チェッキングとセイビングの2種類の口座があります。 日本でいえば、前者が普通預金、後者が定期預金のようなものです。 私の口座は、チェッキングは最低1000ドル、セイビングは最低4000ドルの残高が必要で、残高がこれより少なくなると手数料がかかります。 チェッキング口座は絶対必要なものです。給料はここに振り込まれますし、小切手もここから引き落とされます。 小切手は、電気代や電話代を払うのになくてはならないものです。 セイビング口座はなくてもいいのですが、金利が高いので、一応持っております。 セイビング口座はすぐには開けないので、まずチェッキング口座を開いてから、落ちついた頃にセイビングについて考えるのが良いと思われます。

(3)カ−ド(日本の口座引落)

カードは、VISAカードがあれば事足りると思います。 マスターでもいいかもしれません。 アメックスもまあまあ使えるようですが、私はまだ一回も使ったことがありません。 作って失敗しました。 ダイナースは、使えるところを見たことがありません。 カードの引き落とし口座は日本の銀行のままにしてあります(ただし住所変更届けが必要です)。 気を付けなければいけないことは、アメリカは電話でもメイルでも、カード番号さえ伝えれば何でも買える国だということです。 便利である一方で、簡単に他人に使われてしまう危険がつきまとっているのです。 したがって、こまめに明細をチェックしなければなりません。 ところが、銀行提携のVISAカードの多くは、明細書をアメリカまで送ってくれないのです。 そこで私の場合は、日本に残してきた家族から定期的に郵送してもらっています。 一方、アメックスや○○カ−ド(VISA、マスタ−)はたとえ海外であっても自宅まで明細書を郵送してくれます。 したがって、やはり色々と便利なのは、○○カ−ドではないかと思います。 前述の海外駐在員向け損害賠償保険に入るためにも必要だからです。 基本的にはカ−ドは1種類でも大丈夫ですが、万が一のためと、それから旅行代金など高額の支払をしなければならない時のために、もう1種類ぐらいあった方がいいかもしれません。

(4)アメリカの口座引落のカ−ドは作れないか?

前述したように、私たちの場合は、カ−ドで買い物をした代金はその時の円ドル換算に基づいて、日本の口座から「円」で落とされるわけです。 このやり方は、現在の状況がそれほど円高ではないので、余り賢い方法ではないかもしれません。 思えば、1ドル80円代をきった時に、思い切って大量の円をドルに換えておけば良かったのかもしれません。 しかし、帰国の時期が近づいてきて手持ちの「ドル」は底が見えてきたし、今さら高い手数料を払って日本の口座から送金させるのもばかばかしいので、円ドル換算はあまり気にせず使っています。

ところで、「円」ではなくて「ドル」で落ちるカ−ドは作れないのかという疑問がわくかもしれません。 着いたとたんにアメリカの口座でカ−ドを作ることは、アメリカでの購買実績がない、すなわちアメリカでの信用がないのでまず無理な相談です。 ただし、私の場合は、1年間の預金実績が認められたのか、最近になって、キャッシュ・カ−ドがクレジット・カ−ド(マスタ−・カ−ド)としても使えるようになりました。 しかし、前にも述べたように、すでに口座のドルが少なくなっているので、もう使うことはないでしょう。 残された唯一の方法はアメックスを使う方法です。 日本で加入したアメックス・カ−ドは、引落口座をアメリカの銀行の口座に変更することが可能です。 個人的な見解としては、そうまでしてドル払いにこだわることにそれだけのメリットがあるとは思えません。

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その10:渡米前にしておいた方が良い手続き

(1)学会費

2年分先払いしました。

(2)住所変更届け

前述のように銀行の住所変更届が必要です。 郵便局の口座の住所変更は必要ないようです。 しかし、郵便物の転送届(転居届)は実家宛てにしておくと便利です。 転送届は1年で切れるので、次の年の分の転送届も実家に預けておき、期限が切れるころに投函してもらうといいでしょう。

(3)生命保険

月払いよりも年払いがお得です。 1年分より2年分の方がもっと得で、私は2年分まとめて支払いました。 「海外渡航の手続き」が必要なのでお忘れなく。 郵便局の簡易保険も年払いがかなり得です。 こちらは住所変更、海外渡航の手続きはありません。

(4)国民年金

海外在住者の年金加入は任意です。 加入しなくてもよいのですが、加入しておいた方が後々面倒なことにならないと思います。 年払いが得なようです。 私たちは2年分、銀行の口座振替としました。

(5)税金

渡米したといっても、それまでは日本で所得があるわけですから、その年度の確定申告が必要です。 所得税に関しては、管轄の税務署に「納税管理人」の届け出が必要です。 「納税管理人」とは、海外在住の間、確定申告の書類、所得税に関する書類などを本人に代わって受け取る代理人のことです。 親や兄弟に頼むと良いと思います。 税理士に確定申告をお願いする方法もあります。 費用は1万円前後らしいです。住民税に関しては、未納の住民税を納めてください。

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その11:引越荷物の発送

最も安上がりなのは、郵便局の船便です。 ただし、4週間以上かかります。 船便より少し高いのがSAL便で、2週間ぐらいかかります。 最も高いのは航空便で、1週間ぐらいで着きます。 私どもはすぐに使わないものに関しては、2カ月前ぐらいからちびちびと先輩宛に船便で送りました。 そして、渡米の日が近づくにつれて、SAL便、航空便と変えていきました。 結局全部でダンボール15個ぐらいでした。

私達の荷物は、税関で開けられたり、また荷物が紛失したりするようなことはなかったのですが、開封されたままだったり、紛失したり、2カ月以上もかかったりというようなトラブルもあるようです。 このようなトラブルを避けるために、梱包内容は「英語」で細かく書くこと、医薬品や肉類だと誤解されやすい箱は使わないことを厳守してください。

日通やクロネコヤマトなどの引越会社でも海外引越を取り扱っています。 郵便局よりは割高ですが、急ぐものや大事なものはこちらを利用されると良いかと思います。

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その12:眼鏡とサングラス

アメリカの日差しは強烈です。 自動車を運転することも多いし、サングラスは必需品です。 度付きのサングラスをお持ちでないなら、是非作ってください。 それから、破損した時のために、予備の眼鏡をお持ちになったほうがよいでしょう。

しかし、眼鏡やサングラスはアメリカでも簡単に作れます。 ブランドのフレ−ムもレンズも日本よりやすく、半額以下で購入できます。 破損した場合などのために、眼鏡の処方せんを眼科のドクタ−に作ってもらって持参するといいと思います。 処方せんは、日本語でも数値は分かるので通用します。 こちらで検眼すると、検眼料50ドル程度取られます。

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その13:食生活

(1)アメリカのス−パ−マ−ケット

アメリカの食べ物ははっきりいってあまりおいしくはありませんが、日本の食材以外は安いです。 例えば、卵1ダ−ス1ドル、牛乳1/2ガロン(約2リットル)1ドル20セント、果物や野菜も安いです。 肉は、牛肉が安く、豚肉は少し高めです。 スキヤキ用などの薄切り肉が店頭にはありませんが、頼めば薄切りにしてくれるところがあります。 魚介類に関しては、普通のス−パ−でも、生魚(たとえばサ−モン、ます、さば、たらのような白身の魚)、貝類、海老などを売ってますが、日本のようにおいしいものはなく、値段も高いです。 冷凍物では、わかさぎ、いか、いわし、白身魚などがありますが、冷凍日や賞味期限が書かれていないのが気がかりです。

最近は、普通のス−パ−でも、醤油、みりん、酢、ソ−ス、めんつゆ、海苔、チュ−ブ入りのわさび、味ぽん、小豆、カップ麺、インスタントラ−メン、もやし、しいたけ、白菜、長ねぎ、大根、豆腐といったようなものを置いているところがあります。

(2)日本食材を取り扱う店

この町には、日本人老夫婦の経営する小さな店がダウンタウンの近くにあります(註:現在は閉店)。 あまり治安の良いところではないので、行くときは必ず車で夫婦で行きます。 その近くには、ちょっとしたチャイナタウンがあって、中華料理の食材の他にも日本のものも置いています。 アパ−トから比較的近いところでは、韓国人が経営する店が一軒あります。 日本のテレビ番組のレンタル・ビデオまでやってます。

また、隔週で、隣町の日本人向けス−パ−からの宅配のサ−ビスもあります。 お刺身からアンパンまで、メ−カ−にこだわらなければ何でも買うことができます。 この町へは高速道路で3時間ぐらいですので、直接行くことも可能。 その他、別の隣町まで出かければ、まるで日本のセブンイレブンのような店が一軒ありますし、思い切ってシカゴまで行けば、巨大な日本のスーパーがあなたを待っています。 しかし、わざわざそんな時間かけて行こうなんて思うのは最初のうちだけだと思います。

(3)米

米は日本と比べるとかなり安い。 約9キロで、短粒種は、「カルフォルニアこしひかり」や「あきたおとめ」が14〜15ドル、中粒種は、田牧米13ドル、錦11ドルといったところです。 味は、おいしいです。 心配無用です。 もちごめも売ってます。

(4)酒

酒は安いです。 残念ながら私はビ−ルぐらいしか飲まないので、他の酒については詳しくありませんが、ビ−ルは驚くほど安いです。 たとえば、あのビ−ルの町ミルウォ−キ−に本社を置くパブストが最も安いうちのひとつで、約350ミリリットルの缶24本で7〜8ドルだったりします。 バドやミラ−などの有名銘柄は、これの倍近くしますが、それでも日本に比べたら馬鹿安ではないでしょうか。 日本のビ−ルは、サッポロが一番有名で、あとはキリン一番搾り、アサヒなんかも時々見かけます。 それから、松竹梅、大関といった有名銘柄の日本酒はよくみかけます。 現地生産のものも多いので、味は保証できません。 アメリカ人には、「SAKE」として超有名です。 ちなみに、日曜日の午前中(店によっては終日)酒は買えません。宗教上の理由らしいです。

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その14:衣類

アメリカの洗濯機、洗剤は質が悪く、衣類をとても傷めます。 乾燥機はもっと傷めます。 縮みが激しいのです。 したがって、アメリカのギャルたちはみんな縮み上がったTシャツを「ヘソ」を出して着ています。 ドライ・クリ−ニングもあまり上手ではないようで、傷んでは困るような大事な服は持ってこない方がよいでしょう。 夏はTシャツ短パン、それ以外はトレ−ナ−やセ−タ−にGパンという格好で事足ります。 多少フォ−マルさが必要なのは学会のときぐらいなものでしょう。 留学経験者の先生たちの中には、着る物なんか向こうで買えばいいとアドバイスする人がいると思いますが、こちらですぐに安くてサイズが合って気に入ったものを見つけるのはそれほど簡単なことではないので、個人的には着慣れたもので傷んでも構わないものをいくつかお選びになって持参されたら良いと思います。

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その15:持ってきたほうが良いもの

包丁(こちらのものは切れが悪い。使い慣れたものが一番です)、砥石、タオルケット、肌かけ布団、茶碗、おわん、箸、小皿、小鉢、ゆのみ、卵焼き用フライパン、油ポット、弁当箱、箸箱、女性用下着(なかなか身体に合うのが見つからない、日本のものが一番良い)、印鑑、アメリカの旅行ガイドブック・・・・・など。

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その16:英語について

私はこちらに来る前に、週1回のネイティブスピーカーとの英会話レッスンを約半年間受けました。 それが役に立っているのか、はたして金の無駄遣いだったのか、今でも全く分かりません。 どっちにしろ、英語は初めは全くといっていいほど通じないです。 これには2つの要因が考えられます。

ひとつは、英語は理解できても、アメリカ人の慣習や生活洋式を知らないために理解できない場合です。 たとえば、ス−パ−マ−ケットのレジで、いきなり「Paper? or Plastic?」と聞かれても、たとえ正確に聞き取れたとしても何のことか分からないでしょう。 実は、紙の袋とプラスチック(ビニ−ル)の袋のどちらに入れるのかを聞いているのですが、分かってしまえば何のことはないわけです。 こういう場面では大抵こういうことを言う、それが分かってくると、たとえ英語が正確に聞き取れなくても、何とか対応できるようになってくるわけです。 例えば、レストランなんかで食事していて、終わり近くになってくると、必ずウェイタ−やウェイトレスが、「How's everything?(いかがでした?)」って様子を伺いに来るのです。 そこですかさず「Very nice!」とかやるわけです。 一度、いつものように食事の終わり頃に何か聞かれたので、「Very nice!」と答えたら、けげんな顔をされたことがありました。 よくよく聞いてみると、デザ−トは何にするか聞いていたのでした。

もうひとつの通じない大きな要因は、日本人の発音に慣れていないアメリカ人がほとんどだということです。 実は、来日して英語を教えている外人教師たちは、すでに日本人の英語に相当慣れています。 これはラボのボスやテクニシャンたちにも当てはまります。 私が来たばっかりの時には全然通じなかったのが、今ではいくらか通じる、これは私の英語がうまくなったわけではなくて、彼らの方が私のなまりに慣れてきたからなのです。 例えば、今ではもう日本人が「R」と「L」の区別がつかないことをラボの人たちは知っていますが、それは彼らにとって信じ難いことでもあります。 彼らにしてみれば、「R」と「L」は全然違うからです。 彼らは話の流れから、この日本人は「R」と「L」を間違っているな、というように判断してくれるわけです。 ところが、そんな予備知識がない人に向かって「R」と「L」を間違って発音すると、さっぱり通じないわけです、だって「R」と「L」は全然違うからです。 ある時、フライド・チキンを頼むのに、うちのカミさんが「leg」をくれと言ったのですが、「L」が「R」になってしまい、「reg」と言ってしまいました。 すると、出てきたのは、鳥の足ではなくて、胸肉(breast)でした。 このように最もアクセントの強い音が一番大事なのですから、間違ったらやっかいです。 日本人が特に良く注意されるのは、他には「s」と「sh」、「b」と「v」などです。 まあ、とにかく、格好つけずに、分からなかったらエクスキュ−ズ・ミ−を連発し、大げさなアクセントでゆっくり喋ることでしょう。 なんとかなるものです。

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その17:夜は明るい

この州は、ニュ−ヨ−クなんかと同じいわゆる東時間を採用していますが、東時間地区の最も西に位置します。 つまり、ニュ−ヨ−クが夜7時頃になって暗くなってきても、ここはまだまだ明るいわけです。 特に、夏は夏時間を採用して1時間繰り上げですから、夜9時頃まで明るいです。 5時頃帰ってきて、6時頃夕飯食って、お茶でも飲んで7時、それでも外はまだまだ明るく、日没までゆうに2時間はあります。 この時間は大変有意義です。

となりの公園でテニスをするもよし、ランニングで汗を流すもよしです。 あちらこちらにメトロ・パ−クというものがあります。 大きな森林の中にちょとしたトレイルがあったり、ピクニック・エリアがあったり、池があったりします。 この時間帯にそこへ行くと、非常に気持の良い森林浴ができます。 犬を連れて散歩をする人や、ロ−ラ−・ブレ−ドをする若者達、バ−ベキュ−を楽しむ家族などで賑わっています。 真紅のカ−ジナルや真青のブル−ジェイといった野鳥もいるし、こんな幸せな気分はなかなか味わえないと思います。

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その18:健康について

我々フェローは、とても安い給料で働いているため、保険料無しで無料で私たちを診療してくれることになっています。 ただし、例外があります。 歯医者だけは最初の1年間、無料で治療を受けることができません。 そういうわけで、今のうちから、どんな小さな虫歯も一つ残らず治療しておいてください。

保険料無しと書きましたが、これも実は例外があります。 万が一、働けない程の重体となって日本に搬送されなければならない場合(縁起の悪い話ではありますが、ご遺体となってもちゃんと搬送してあげますってパンフレットに自慢げに書いてあった)の搬送費用のための保険に、半ば強制的に入れさせられます。

君は赴任した時、最初に健康診断を受けさせられます。 君はツ反陽性ですか。 私は陽性なんですが、アメリカではBCGをやっていないので、陰性が普通なわけで、陽性の場合は結核を疑われます。 日本人は陽性が多いんだって話しても、なかなか信じてもらえず、レントゲン検査を受けさせられました。 毎年レントゲンも撮ってると話したのですが、放射線被曝にうるさいアメリカです、毎年レントゲン受けてるってえのも常識を逸脱した話だったらしく、全く信用してもらえませんでした。 結局、当たり前ですが、レントゲンは正常、ところが、レントゲンでわからない結核も多いので、とりあえず抗結核剤を服用した方がいいって書いた手紙がしょっちゅう来るハメになってしまいました。 しかしそこは自由の国アメリカ、飲む飲まないだって患者の自由さあ〜ってな感じで無視してたら、別に何ともなかったのですが、もしもこのような事がいやであれば、しかるべき英語の診断書を持参した方がいいかもしれません。 ま、胸の写真撮るぐらいどおってことないんですけどね。

その他、ナース立ち会いの上で尿を採取、すぐ密封して封印、その上にサインをさせられます。 これはいわゆるドーピング検査です。 これでクスリをやってることが分かってしまったら、確実にクビになりますので、もしやってるならすぐにやめてください。

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・・・今回はこの辺で。

後半はちょっとエンターテイメントに走りすぎましたね。 それでは、そのうち第2号をお送りするかも知れません。 とりあえず、さよなら。

1995年6月25日 アレクサンドル・スミルノフ

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