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最終更新:2007年07月27日

「カモメ」さん

集合場所、試験は口頭試験→実技試験の順、30分刻みで大人数でまとまって8階の試験室に向かう等、形式は昨年までと同様です。ホテルの方ももう慣れているようです。

「カモメ」さん:症例問題

部屋の前で、症例が書かれた紙とボールペンを渡され、5分間紙にメモを書く時間が与えられます。症例が書かれた紙は口頭試験終了後回収されます。

試験官A:問題をみてラッキーと思いましたか?

:いろいろ意見の分かれるところも多いと思いますので、少し戸惑っています。

試験官A:そこを討論するのがこの試験ですから、心配せずにいきましょう!

試験官A・Bともに優しそうな人で、少し緊張がとれました。

症例1

12歳女性、身長約150cm、体重約45kg、5年前から気管支喘息、関節鏡下前十字靭帯再建術を予定、全身麻酔を希望。(←普通これは全麻だろ。ラッキーな問題だ。)

気管支喘息・術前管理

試験官A:術前診察では特にどのような点に注意しますか?

:一般的な術前診察を行い、特に喘息について、普段の治療法、最近の発作歴を詳しく問診し、聴診を行います。

試験官A:ご家族とご本人にはどのようにリスクの説明をしますか?

:全麻では挿管・抜管による気管への刺激により発作が誘発される可能性があります。ラリンジアルマスクという方法もありますが、喉頭痙攣や喘息発作により換気ができなくなり、挿管せざるを得なくなることもあります。脊髄くも膜下麻酔は、意識を残せて自発呼吸下で行うので安全な印象があるかと思いますが、麻酔レベルが広がりすぎると副交感神経優位となり、発作が誘発される可能性があります。

気管支喘息・麻酔法の選択

試験官A:先生だったらどのように麻酔しますか?

:筋弛緩薬を用いずにラリンジアルマスク自発呼吸で行います。

試験官A:ラリンジアルマスクは何を使いますか?

:ラリンジアルマスクプロシール#3を用います。

試験官A:導入はどのように行いますか?

:まずpreoxygenationを行いますが、不快感を訴えないようにマスクを顔には密着させません。まずフェンタニル100μg静注し、数分後プロポフォールを1〜2mg/kg静注し、就眠したらラリンジアルマスクを挿入します。

試験官A:先生はこの症例にプロポフォールを使いますか?12歳ですけれども。

:バルビツレートは気管支喘息には禁忌ということになっているので使用を避けます。ミダゾラムはこの症例のように比較的短時間で終了する場合、覚醒遅延を起こす可能性があるので、ミダゾラム単剤での導入は行わないかと思います。

試験官A:ケタミンなんかどうですか?今度麻薬指定になって取り扱いが煩雑になりますけど。

:他の先生が使用しているのを見たことがありますが、私は使用したことはありません。

気管支喘息・術後鎮痛

試験官A:術後鎮痛はどうしますか?

:術中多めにフェンタニルを用いるのと、問診上アスピリン喘息が否定されていれば、術中にフルルビプロフェンをまず1ml投与し、問題なければ計4ml投与します(試験官が喘息にロピオンは禁忌、と思っていたらまずいな)。

試験官A:そうですね、私もアスピリン喘息でなければNSAIDs使います。でも、最近はうるさい世の中になり、ロピオンは喘息には慎重投与になっているので、十分注意して使いましょうね。

気管支喘息・喘息発作

試験官A:術中SpO2低下が起こったら何を疑い、どうしますか?

:FiO2を1.0とし、聴診してwheezeが聴こえるか確認するとともに、ラリンジアルマスクのフィットが悪くなっていないか確認します。ラリンジアルマスクのフィットが悪くなっていれば、位置を調節したり一度抜去してマスク換気後再挿入したりします。喘息発作が起こっていれば、吸入麻酔を深くして挿管します。

試験官A:挿管中の人にSpO2低下が起こったら、何を考えますか?

:喘息発作の他、喀痰による挿管チューブの閉塞等チューブトラブルを考えます。

試験官A:喘息発作が起こったらどうしますか?

:他の麻酔科医を呼びます。

試験官A:それから?

:・・・、あっ、術者に伝えます。

試験官A:そうですね。それが大事です! 治療はどうしますか?

:FiO2を1.0とし、吸入麻酔を深くします。ヒドロコルチゾン100mg静注、アミノフィリン5mg/kg静注後0.4mg/kg/hで持続静注、サルタノール2パフします。

試験官A:どのような順番で行いますか?

:麻酔カートにヒドロコルチゾンとアミノフィリンは入っているので、まずこれらの投与を行った後、サルタノールが届くと思うので、届き次第サルタノールを使用します。

試験官A:前日に発作が起こりましたが、内科医は大丈夫と言っています。どうしますか?

:程度にもよりますが、急ぐ手術でもありませんし、気道過敏性が亢進し術中発作の可能性が高くなっているので手術の延期をご家族とご本人に勧めます。

試験官A:前投薬はどうしますか?

:ご家族とご本人に前投薬について説明し、希望があれば使用します。(具体的な薬品名・使用量については答えなかったが、突っ込みなし。)

試験官A:B先生、他にありませんか?

試験官B:12歳の子に脊髄くも膜下麻酔やったことありますか?

:ありません。

試験官B:そうですよね。12歳なら全麻ですよね。私ももちろんそうします。

症例2

70歳くらい男性、2年前AMIにてステント留置後、ワーファリン・アミオダロン内服中、EF30%、PT-INR2.0、胃全摘術を予定。(←これもラッキー。うちの病院こういう症例多いから。)

OMIの術前評価

試験官B:どうでしょう。周術期の心イベントや血栓形成の可能性は高いでしょうか?

:EF30%と低心機能で、ワーファリン内服中ということですが、周術期には抗凝固を中止する上に術後は凝固する方に傾くので、リスクは高いと思いますが。(ガイドライン等と絡めて話しすればよかったのだろうか?あと心房細動があったら心房内血栓のリスクが高いとか。あいまいな答えで突っ込みなかったが。)

試験官B:そうですねえ。   術前抗凝固はどうしますか?

:ワーファリンは5日前に中止し、ヘパリン持続静注を開始します。1日10000〜15000単位をACT150〜180になるように投与します。入室6時間前にヘパリンを中止し、入室時ACTが延長しているようであればプロタミンで中和します。

試験官B:術後は?

:タイミングについては外科医と相談となりますが、止血が確認された後再開します。

OMI患者の開腹術の麻酔法

試験官B:麻酔法はどうしますか?

:ヘパリン持続静注後にプロタミンで中和してACTを戻してから硬膜外麻酔を入れられる先生もいるようですが、私でしたら硬膜外血腫も怖いですし、全麻のみで行います。

試験官B:私でもそうしますね!   術後鎮痛はどうしますか?

:術中は多めにフェンタニルを使用し、術後はモルヒネまたはフェンタニルのiv-PCA、PCAの器械がなければ持続静注します。

試験官B:アミオダロン内服中だと、どのようなことに注意しますか?

:VTなど難治性の不整脈を合併した既往があることが考えられるので、周術期にも十分注意します。(間質性肺炎・肺線維症は答えなかったが、突っ込みなし。)

試験官B:モニタリングはどうしますか?

:標準モニタリングのほか、観血的動脈圧ライン・肺動脈カテーテルを使用します。経食道心エコーも使用したいところですが、胃の手術なので避けます。

試験官B:そうですね。以上です。

   

症例2は拍子抜けするくらい早く終わりました。全麻の導入方法や維持については聞かれませんでした。術後使用するフェンタニルやモルヒネの量についても聞かれませんでした    全体として、すごく良い雰囲気で進みました。また意見が合うことが多く、話がスムーズに流れました。

「カモメ」さん:実技試験

部屋に入るとさまざまな器具が…。麻酔器はありませんでした→今年は麻酔器のリークチェックはなし。

硬膜外麻酔

実際に穿刺できる背中の模型と脊椎の標本、Portexの硬膜外麻酔セットが用意されている。

試験官A:○○歳女性、アキレス腱の手術を硬膜外麻酔で行います。刺入部位は?

:(普通、アキレス腱の手術を硬膜外麻酔のみでは行わないのではないでしょうか?)L4/5から入れます。

試験官A:体位はどうしますか?

:エビのように、頭部を前方に曲げ膝を抱きかかえるように背中を丸くしてもらいます。

試験官A:では、消毒から行って下さい。

:穿刺部を中心にこのように行います。2回目以降はそれぞれ前回の消毒範囲をはみ出さないように行います。

試験官B:消毒は何回行いますか?

:(キットに入っている消毒用スポンジの数によって2回だったり3回だったりするけど)3回行います。

試験官B:消毒薬は何を用いますか?

:(各病院で出てくるのを使っているけど)クロルヘキシジンです。

試験官B:ポピドンヨードは使わないのですか?

:以前は使用していましたが、最近は使用していません。

試験官A:では、穿刺して下さい。

:(実際に穿刺しながら)刺入時のbevelの向きは上向きで、皮膚→皮下組織→棘上靭帯→棘間靭帯と進みます。棘間靭帯まで進むと針先が固定しますので、bevelを頭向きとしTuohy針のスタイレットを抜き生食の入った注射器を接続します。

試験官B:ここでbevelの向きを変えるんですか?

:硬膜外腔に達してから針を回すと硬膜を穿刺しやすいという意見がありますので。

試験官B:そういうことはいいですから、いつもそうやっているんですか?

:うちの医局ではみんなこうしてます。(たぶん)   黄靭帯→硬膜外腔と進み、硬膜外腔に達すると抵抗がなくなり生食が注入されます。   (確かに抵抗がなくなった。なかなか上手く出来た模型だ。手技はこの時点で終了。カテーテルの留置はしない。)

試験官A:テストドーズはいつも何使ってますか?

:2%キシロカイン3mlです。

試験官A:その後の使用薬剤・使用量は?

:1%カルボカインを5mlずつ、麻酔域や血圧を見ながら追加していきます。

試験官B:それではあまり効かないのではないでしょうか?

:普通アキレス腱の手術を硬膜外麻酔だけではやりませんから。

試験官B:どうしてですか?

:脊髄くも膜下麻酔や硬膜外麻酔ではタニケット痛が取れないので、これらを施行したとしてもいつも全身麻酔を併用しています。

試験官B:アキレス腱のデルマトームは?

:L4、5あたりでしょうか?

試験官B:Sです。

試験官A:では、○○歳女性(高齢者だった)、胃癌の手術を行います。刺入部位は?

:Th7/8、8/9、9/10辺りで診察上入れ易そうなところから入れます。

試験官A:では、この標本で刺入部位を教えてください。

:(下から数えて)ここがTh7です。

試験官A:実際の刺入経路はどうなりますか?

:正中からこのような角度で刺します。(と実際に指し示す。)

試験官A:かなり椎間が狭いですし、角度が急ですね。入りにくくないですか?

:(私は胸部硬膜外は全例傍正中法ですが)傍正中法で刺入します。棘間の1cm下から垂直に棘突起にあたるまでTuohy針を刺入し…。(口では棘突起と言いながら、指では椎弓をさしている。)

試験官B:棘突起ですか?棘突起はそこですよ。

:えっ…。えっと、この骨に…。

試験官B:椎弓ですね。

:あっ、そうです。椎弓です。椎弓に当たったら角度をつけてLORを開始します。

ACLS

人形とペーシング機能付除細動器が用意されています。

試験官A:では、こちらに移動して下さい。次はACLSですが、ガイドライン2000と2005、どちらでやりますか?(現在ガイドラインが過渡期のためか、選択が可能だった。)

:2000でやります。

試験官A:先ほどの胃癌の患者さんが、執刀前術者が手洗いに行っている最中にこんな心電図波形(VT)になりました。血圧は110/60です。どうしますか?

:FiO2を1.0とし、麻酔を切ります。同期して除細動します。

試験官A:その前に出来る治療がありませんか?

:(あっ、そうだ。安定している頻拍だ。)安定した頻拍ですので、まずは薬剤投与を行います。リドカイン1mg/kgIVします。

試験官A:そうしたら、こうなりました(Vf)。どうしますか?

:モニターの接続に異常がないことを確認しつつ、応援を呼び、救急カート・除細動器を持ってきてもらいます。心マを開始します。

試験官A:心マのペース、部位、深さを説明してください。

:ペースは100回/分、部位は両側乳頭を結んだ胸骨上、深さは4〜5cm、圧迫に50%解除に50%の時間をあてます。

試験官A:除細動器が来ました。

:非同期で200Jで除細動します。(ACLSで習ったとおり、皆が人形から離れていることを確認して除細動した。)

試験官A:こうなりました。(心静止)どうしますか?

:心マを再開すると共に、エピネフリン1AIVします。

試験官A:はい、では次いきましょう。(となぜか蘇生には成功しないままACLS終了。)

中心静脈穿刺

右内頚静脈辺りを中心とした穿刺可能な模型があります。動脈拍動も触れます。  アーガイルの中心静脈カテーテルキットがあり、いくつかの穿刺針の中から好きなものを選べます。

試験官A:先ほどの患者さんが無事蘇生され、ICUに入室しました。これから中心静脈カテーテルを右内頚静脈から挿入します。いつもエコーを使用されていますか?

:使ったり使わなかったりです。

試験官A:では、まずエコーなしで穿刺してみましょう。メルクマールを教えてください。

:(23G針と2.5mlのシリンジでテスト穿刺)このように、胸鎖乳突筋の胸骨枝と鎖骨枝の分岐部から乳頭方向に穿刺します。(しかし、当たらず。)

試験官A:では、エコーを使ってみましょう。この二つの丸は何ですか?

:エコーによる圧迫で内腔がしぼむのが内頚静脈、しぼまないのが総頚動脈(→内頚動脈ではないのがポイント)です。

試験官A:では、穿刺してみましょう。

:(23G針と2.5mlのシリンジでテスト穿刺後、本穿刺。内筒を抜いてガイドワイヤーを入れる辺りまで行う。)

試験官A:内頚静脈穿刺の合併症を述べてください。

:動脈誤穿刺、頚部血腫、気胸、腕神経損傷、カテーテルの血管外留置、ガイドワイヤーによるPVC等あり得ます。

試験官A:その他に空気塞栓がありますよねえ。どのような対策を行いますか?

:穿刺時にhead downする、ガイドワイヤー抜去後すぐに手でカテーテルを屈曲し空気が入らないようにする等します。

試験官A:カテーテル内はどうしますか?

:ヘパリン生食で満たしておきます。ガイドワイヤーが出てくるルーメン以外、あらかじめ三活もつけておきます。

試験官A:患者さんがawakeだった場合、呼吸はどうしますか?

:自発呼吸の場合は、吸気時に胸腔内が陰圧になり空気が吸いこまれやすいので、患者さんの呼気で行うか息を止めてもらいます。

試験官A:では、次行きましょう。

空気塞栓についてしつこく聞かれて終わりました。

バッグバルブマスク

アンビューが分解されて置いてあります。

試験官B:組み立ててください。

:(アンビューを組み立てたことはなかったが、何となく出来た。)こうです。

試験官B:ちゃんと使用できるか、どのようにチェックしますか?

:えっ???アンビューを押して、空気が出てくることを確認します。

試験官B:本当にそうやるのですか?

:あ〜っ、はい。

試験官B:弁について説明してください。

:それぞれ一方向弁になっており、逆流しないようになっています。

試験官B:酸素はどこにつなぎますか?

:ここです。(1箇所酸素をつなげそうな場所があったので、そこを指す。)

試験官B:最後にもう1回聞きますが、ちゃんと使用できるか、どのようにチェックしますか?

:挿管チューブに接続するところを手で塞いでバッグを押し、リークがないことを確認する、でいいんですか?

試験官B:はい、そうです。

よく分からないまま終わりましたが、チェック方法は合っていたみたいです。

このようにして実技試験が終わりました。試験官Bは少し嫌な感じでしたが、概ね質問には答えられて終わりました。

「カモメ」さん:アドバイス

最後に筆記試験について。A問題は過去問(5年くらい)をやっていれば8割以上は出来るかと思います。B問題は新作問題が多く、過去問だけでは出来ません。良い点を取りたければミラーでも熟読して暗記すれば良いのでしょうが、どうせ皆過去問しか勉強して来ない=皆B問題は出来ない、のであまり心配しなくて良いかと思います。C問題も過去問と傾向が変わっておりました。心電図と肺血栓塞栓症絡みの問題が多かったです。C問題は口頭試験や実技試験と同様、日頃の臨床をしっかりやっていれば良いのではないかと思いました。

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