スミルノフ教授公式ウェッブサイト> 実況!麻酔専門医試験口頭試問>「とまと」さん
最終更新:2005年10月10日
思えば数年前、「麻酔指導医試験ってどんなんなんだろ?」とネットで検索して みたら、たどり着いたのが先生のサイトでした。 それ以来、いつも楽しみに拝見しております。 今回も、受かったら絶対投稿しようと思っておりました。 載せていただけると幸いです。
前日の筆記が妙に難しかったので、夜は同僚と街に繰り出し、嫌な事は忘れて飲 みました。おかげですっきりです。
ドアの前で症例を書いた紙と鉛筆を渡され、5分間読んでくださいといわれまし た。メモは自由です。症例の要点と、思い出せたポイントを必死でメモりました が、緊張で鉛筆を走らせる手が震えました。
部屋に入ると、有名な先生が二人。「緊張してる?」と聞かれ、「はい、とても」 と答えると、「じゃあ大きくしんこきゅー! すー、はー」と笑いをとってくれ た。すごく雰囲気が良さそうで、ちょっとほっとしました。
症例1
50歳男性、1年前から高血圧を指摘。精査で褐色細胞腫と診断された。ECGで 2、3、aVFでST低下が見とめられる。腹腔鏡下副腎摘出術が予定された
Q1.問題点を重要な順に述べてください。
私:「褐色細胞腫で高血圧がありますが、現在の内服や血圧のコントロールの具合が わかりません。循環血漿量も・・・」
試験官:あのね、そういうことはおいおい質問するから、重要な事を言って。
私:「・・・心電図でST低下が見られますが、2、3、aVFなので、高血圧や心肥大 によるものとは考えにくいです」
試験官:そうですね。
Q2.術前に必要な検査をあげてください。
私:「一般的な検査に加え、心エコー、負荷心電図、できれば冠動脈造影が必要です」
Q3.術前管理をあなたがするとしたらどうしますか?
私:「α、β遮断薬を併用し、血圧のコントロールと循環血漿量の増加をはかります」
試験官:薬は何を使う?
私:「教科書的にはラベタロールです」
試験官:循環血漿量の増加はどう評価するの?
私:「うちの施設ではDDGアナライザを使っていますが・・色素を入れて・・」
試験官:あー、いんちきDDGね!(一同笑)それで、循環血漿量が足りなかったらどうす る?
私:「うーん・・・」
試験官:足りないんだから入れれば?(笑)
私:「じゃあ輸液します」
試験官:そうそう。
Q4.この人は心電図異常がありますね。何が考えられますか?
私:「冠動脈疾患です」
試験官:他にもっとあるでしょう、ほら、カテコラミンがいっぱいで・・
(やや沈黙)
私:「・・・カテコラミン心筋症です」
試験官:そうそう!答えられた人初めてだよ! 君、できるねー! (大ウケ)
Q5.麻酔はどうしますか?
私:「エピと全麻です」
試験官:硬膜外は普通に使ってよい?
私:「腫瘍摘出後の低血圧を増悪させる危険がありますので、慎重につかいます」
試験官:(うんうん、とうなづいている。すごくご満悦だ。)
Q6.麻酔で必要なモニターを、一般的なものに加えて3つあげてください。
私:「動脈ライン、中心静脈ライン、肺動脈ラインです」
Q7.術中に腫瘍操作で血圧が240/120、心拍数が140になりました。
私:「麻酔を深くして、ニトロプルシド、フェントラミンを使います」
試験官:HRも早いけど?
私:「ランジオロール等の、短時間作用性のβ遮断薬を使います」
試験官:あー、君んちは「オノ」なのね!エスモロールでもいいよね!
(一同笑)
Q8.腫瘍を摘出したら、BP70/40になりました。
私:「ドーパミン、ノルアドレナリン、フェニレフリンを入れます。麻酔を浅くしま す」
試験官:あとほら、もう一つ!
(わからない。きょとんとしてしまう)
試験官:ほらほら!
(なぜか二人で指パッチンをしている。人を呼べってこと? 一瞬 頭が白くなりかける。 あっ!)
私:「ゆ、輸液です(笑いつつ)」(クレンメ全開の合図でした。)
Q9.術後鎮痛は?
私:「硬膜外から、0.2%ロピバカインと麻薬を混合して持続注入しています。血圧が 低い時は、濃度を下げるか、生食と麻薬のみを入れます」
試験官:エピができない時は?
私:「フェンタニルを持続静注します」
試験官:PCAは?
私:「あまり使ったことがありませんが、機械があれば考慮します」
試験官:あー、そう。
症例2
80歳男性。前立腺肥大でTURP。前立腺は50g。3年前脳梗塞で、神経学的 後遺症は無いが、アスピリンを60mg/day内服中。3日前から内服を中止している。
Q1.問題点を挙げてください。
私:「高齢で、脳血管障害既往です。他にも血管系の合併症があるかも知れません。 抗凝固療法中ですので、前立腺摘出時も出血が多いかもしれません」
試験官:背中はどうだろうねー
私:「高齢なので、脊椎に変形、骨棘形成があるかもしれません」
試験官:そうですね
Q2.泌尿器科ドクターより、アスピリンについて相談されました。どう答えます か?
私:「神経内科に相談し、休薬が可能であれば3-4日前に休薬してもらいます。継続 した方がよければ、そのままで全麻でやります」
試験官:ほんと? ホントに全麻?
私:「凝固系が正常なら刺しちゃうかも・・」
試験官:そうですね。何を心配して全麻って言っているの?
私:「硬膜外血腫です」
Q3.それで、この人の麻酔法はどうしますか?
私:「脊椎麻酔です」(脊髄くも膜下麻酔ね、と訂正されました)
Q4.手術中、患者が吐き気を訴え、血圧が70/40です。何を考えますか?
私:「麻酔レベルが高位に及んでいる可能性と、前立腺からの出血です」
Q5.じゃあ、突然腹部が膨満してきました。
私:「穿孔を考えます」
Q6.看護師が、灌流液の戻りが悪いと言っています。
私:「前立腺切除面よりの吸収か、穿孔を考えます」
Q7.患者が興奮、多弁でナトリウムが120です。どうしますか?
私:「まず術者に告げ・・・」
試験官:君、いいねえ! そう、まず術者に教えないとね!(ここがポイントだったらし い)
試験官:それでそれで?
私:「術者に操作をやめてもらい、治療には利尿剤と生理食塩水を投与します」
試験官:一気に補正する?
私:「橋が脱髄をおこしますので、ゆっくり補正します」
症例は以上です。全体に出来が良いねーと褒められました。かなり誘導もしても らったので、出来が良いというより、「術者に告げる」等のポイントをおさえた のが良かったのかもしれません。
すぐ隣の部屋に通されました。今年から、実技の中に必須問題が含まれ、できな ければ全体の点数が高くても落とすそうです。
麻酔器と挿管人形、蘇生人形が置いてあります。
Q1.麻酔器の低酸素防止機構を挙げてください。
「酸素が遮断されると亜酸化窒素も遮断されます。酸素濃度計が付いていて、低 下するとアラームが鳴ります。あと、酸素のノブだけ大きくて手前に出ています」
Q2.リークテストしてください。
Q3.EF40%のPD。身長、体重はムニャムニャ(忘れた)。麻酔を導入してください。
チューブをのカフを点検し、挿管人形に麻酔をかける。
ミダゾラム4mgとフェンタニル100μgをいれてください(助手をしてくれる先 生に指示。)入眠しました。マスク換気は可能です。ベクロニウム6mgを投与し てください。3分たちました。挿管します。
(挿管、聴診して終了)
Q4.EtCO2の波形を描いてください。
Q5.肺動脈カテーテルを入れてください。
見た事無いけど、単純なキットです。普段心臓麻酔をかけていれば、心配ないと 思います。ホントにこの人形に刺していいんですか?と聞いたら、「やだなー、 まねだけだよ!」と笑われました。
Q6.肺動脈カテーテルの通る経路と、圧波形を描いてください。
Q7.術中にこんな心電図になりました(Vf) Aラインの血圧はほとんどありませ ん。助手に必要な指示をしてください。
「除細動器を持ってきてください。心臓マッサージをしてください」
心マしたことないんだって!教えてあげて!
「胸骨の下半分に手のひらを当てて、両手で3から5cm沈むくらいに押します。速 さは100回/分です」
除細動器きました! (除細動する。3回で戻るが、HR30台。血圧40/20)
「アトロピンを1mg入れます」
よく見て!効かないよ! (よく見ると完全房室ブロックでした)
「完全房室ブロックですので、経皮ペーシングをしつつ、経静脈ペーシングの準 備をします」(と、除細動器のPMの設定をしようとする)
いいよ、この機械でペーシングできる事がわかってればOK。パッドはどこに貼る?
「前胸部と背中です」
しょっちゅう蘇生してるの?心臓関係多い?
「蘇生はそんなに多くはありませんので、ACLSを受講してきました」
そうだよなー! 普通受けてくるよなー、ACLS!
実技は以上です。必須問題がどれだかわからないのですが、ACLSは普通にできる のが前提のようです。
筆記のできは悪かったと思うのですが、試験は何とか受かりました。 来年以降受験される先生方のご健闘をお祈りします。がんばってくださいね!