スミルノフ教授公式ウェッブサイト> 実況!麻酔専門医試験口頭試問>「かのん」さん
最終更新:2004年10月10日
昨年口頭試験におっこちたかのんです。今年は新制度の元、再 度筆記試験から受験せねばならず、これ以上無駄なお金を麻酔 学会に払ってやるもんかとの一念で臨んできました。それほど 重要な意味をなす資格なのかの是非はおいといて。
神戸ポートピアホテル本館「のじぎく」に、7時半に到着。試 験監督が現れるまで、このHPも参考に作成したかのん用口頭試 験対策ノートをひたすら読みふけりました。
試験監督は最初に「落とそうとする試験ではなく、後輩を指導 する立場の人間としてコミュニケーション能力が欠如していな いかどうかを見る試験である」みたいなことを話していました 。
では以下口頭試問実況です。
症例1
身長体重年齢は忘れたが、痩せても太ってもいない、めちゃく
ちゃ年寄りというほどでもない人。
HCC、LCの診断で肝右葉切除術予定。
血小板8万。GOT、GPT値はやはり忘れた。
HBsAg(+)
試験官「この人が手術を受けるにあたって先生が留意する点は なんですか?」
私「血小板減少がみられるため門脈圧亢進症による脾機能亢進 が考えられ、そのため食道や胃静脈瘤の存在を示唆され、気管 内挿管時や食道温測定時には気をつけなければならないこと、 血圧の急激な上昇による破裂の危険性があること、出血傾向が あるため術中の出血、輸血を考えること、輸血製剤は凝固因子 の低下による出血も考えられるため凍結血漿の適応か濃厚赤血 球の適応かを考えること、手術侵襲は強く全身麻酔に硬膜外麻 酔を併用したいが硬膜外麻酔による肝血流の減少に注意するこ と、HBV感染患者なので術中の針刺し事故に気をつけること、 それから・・・(呼吸、電解質異常、腎機能など言いたかった )」
試験官「あ、その辺でいいですよ。それでは追加したい検査が あったら言って下さい。」
私「凝固系、ICG15分値、呼吸機能検査、血液ガス、電解質、 ビリルビン、クレアチニンクリアランス・・・多すぎですか・ ・・」
試験官「いえ、それだけですか?他にはないんですか?」
私「・・・はい!」
試験官「あなたがおっしゃった静脈瘤に関しては?」
私「あ、上部消化管内視鏡検査も行ないます。」
試験官「ほかにはいいですか。では、PT80%で、全身麻酔と硬 膜外麻酔で手術を行なうことにしました。使用する麻酔薬とそ の選択理由を述べて下さい」
私「全身麻酔導入はチオペンタールで、ベクロニウムで筋弛緩 を得て、フェンタニルで循環動態の変動を抑制し挿管します。 」
試験官「ベクロニウムはなぜ選択しますか?」
私「肝代謝ですが作用時間が短く循環動態への影響が少ない薬 なので選択します。投与するときは作用時間の遷延を考えて筋 弛緩モニターを装着して必要最小限を投与します。」
試験官「吸入麻酔薬は何を使いますか?」
私「イソフルランが成体代謝率が少ないので使いたいですが、 血液ガス分配係数が大きいので導入と覚醒前にはセボフルレン を使います。」
試験官「では、術中10分で2000ml出血しました。どうしますか ?」
私「急性の出血なのでHb、Ht値を測りつつ、急速輸液を行ない ながら輸血製剤の到着を待ちます。人を呼んで、ルートの確保 やポンピングを行ないます肝硬変患者では凝固因子の低下によ る出血の遷延も考えられるので、濃厚赤血球を急速輸血します が凝固因子の補充も必要なので凍結血漿の輸血も行ないます。 血小板数も減少すると思うので、データをみて5万を切るよう であれば濃厚血小板輸血も考えます。電解質異常やpHに変動が あれば補正をします。」
試験官「では、直接介助の看護婦さんが、指に針を刺したと言 っています。あなたが指示をして下さい。」
私「まず手を下ろして介助の交代をしてもらいます。針を刺し た看護婦さんはすぐに流水で手を洗い・・・(免疫グロブリン が、どうしてもでてこない・・・あら、あらら・・・)ワクチ ンをうちますが・・・」
試験官「ワクチンだけですか?ワクチンは時間がかかりますよ ね。」
私「はい・・・ワクチンの前に・・・わ、忘れました。」
試験官「ほら、免疫が入ってる蛋白があるでしょ(←恐るべき ヒント。もうひとりの試験官も爆笑)。」
私「(それでも思い浮かばない私。あがっているのだ。それを 自覚)わ、わかりません!」
試験官「最後の質問。もし術前凝固系が悪く硬膜外麻酔ができ なかったら、鎮痛はどうしますか?」
私「肝右葉切除術の適応にならないと思いますが、もしすると すれば鎮痛は麻薬の持続静注で行ないます。」
試験官「何をどれくらい?」
私「フェンタニルを1時間に100μg〜150μg使用します。」
試験官「それだけ?」
私「・・・それだけです。」
試験官「私の質問は終わります。」
症例2
75才男性。身長体重はやややせ形。前立腺癌か肥大症にてTUR-P
施行予定。
肺気腫と高血圧があり、去痰剤、β刺激薬、アンギ
オテンシンII拮抗薬を飲んでいる。階段を上ると息切れがする
。
試験官「この患者の術前に欲しいデータを言って下さい」
私「全身麻酔ならば呼吸機能検査と血液ガスデータは欲しいと ころですが、この手術の場合はおそらく脊椎麻酔のみか硬膜外 麻酔併用で行なうしそれが良いと思われるので、胸部エックス 線写真を撮ってもらい、ここ最近上気道炎があれば増悪しやす いので熱計とCBC、CRPをみたいです。合併症として希釈性低Na 血症があるので電解質もみておきます。」
試験官「術前に飲んでもらう薬はどれですか?」
私「去痰剤、β刺激薬、アンギオテンシンII拮抗薬です。」
試験官「アンギオテンシンII拮抗薬もですか?」
私「・・・(質問の意味がわからない)はい。」
試験官「なぜですか?」
私「高血圧のコントロール状態にもよりますが、脊椎麻酔で上 部胸椎レベルまで上昇すると急激な循環動態の変動をきたすの で、降圧薬は必要なのではないでしょうか・・・(答えになっ ているのか?自問自答。何か言わなくてはと焦る)」
そのあと希釈性低Na血症の症状を来たし、そのときの治療、看 護婦や泌尿器科医師への指示も含めた処置を聞かれ、最後に「 硬膜外麻酔はしないんですか?」と聞かれたので「硬膜外を併 用しなければならないほど時間がかかる手術ではないからした ことがない」と答えました。
必要な道具を自分で取って人形 のそばに行く。
「オンナの人で門歯から気管分岐部まで何cm?固定は何cm?カ フはどのくらい入れますか?」
オンナの人は23cm。固定は21cmが平均。カフは20cmまでバッグ を押してもらい漏れない程度まで入れると答えた。
「自分の仕方を口で説明しながらやってください。」
「ブルーカフは何ml入れますか?」
ちなみにはひとりでやるときは、声門をチューブが通過して スタイレットを抜いて23cmくらいになってからファイバーを入 れて左に誘導して挿管するんですが、
「初めて見たわ。なんでそんなことするの?」
「右に間違って 入れて引き抜いて、なんてことをして気管を無駄に損傷したく ないからです」といったら「へえ〜なるほどねぇ〜」と感心( ?)された。
「病院の廊下に患者さんが倒れていました。その場にいるのは あなただけです。」
まず人を呼ぶ。呼びかけに応答しない。痛刺激に反応しない。 見て聞いて感じてのふりをして、無呼吸であることを確認しマ ウストゥマウスで人工呼吸を行ない、心マッサージを行なう。
「心マッサージを行なう場所を具体的に言って下さい。呼吸対 マッサージは何対何回?1分間に何回心マッサージしますか? 」
「人が来ました。モニターと除細動器が来ました。」 モニターはVf。
「何ジュールにチャージしますか?」
3回目でSRになったので、200、300、350にした。
「そのあとの指示をしてください。」
気管内挿管、頚部触診、血圧測定、ルート確保。脈が触れない とのことでエピネフリンivを指示した。
心拍数150前後のAfである。
「これはなに?治療は?」
頻拍のAfで、治療はカルシウム拮抗薬、βblockerを答えた。
「カルシウム拮抗薬は何を使う?」
ベラパミル、ジルチアゼム。
「ニカルジピンは?」
頻拍になるから使わない。
「βblockerは何を使う?」
エスモロールなどの短時間作用性を使用する。
「それでもだめなら?」
「除細動します。」
「同期?非同期?」
「同期です」
「何ジュ ール?」
「100Jです」
実技は簡単だったのだが、ACLSで実はちょこちょこ知識が抜け
ていて、答えるのに少し時間がかかり試験官をイライラさせて
しまったらしく、
「先生は知識がややあいまいなところがあるよ。これから後輩
を指導していく立場になるのだから、講習なんか積極的に受け
て知識を確実にしなきゃダメだよ」と怒られた。ACLSは配点が
低いらしく「コレじゃ落とせないものね〜。」と言われた。出
ていくときに後ろの方で「まぁ・・・落とすほどじゃないんち
ゃう〜?」と相談しているのが聴こえた。
で、無事筆記口頭試問実技とも受かりました。長い道のりでし た。もうポートピアホテルに行きたくなくなりました。かなり 抜けている部分がありますが、少しでも受験されるみなさんの 役にたてばと思い出しながら書きつづりました。