スミルノフ教授公式ウェッブサイト> 実況!麻酔指導医 試験口頭 試問>「りかりん」さん
最終更新:2003年7月20日
会場 入室前に廊下で症例を渡される。 (約5分間) 入室すると 試験管が長い机を挟んで2名座っている。
症例:169歳男性、169cm、80kg。 血圧189/100。心拍数69。労作時に狭心症がある。 最近3度程、右目の視力が(一過性に)低下したことがある。 冠動脈造影で#3 90%、#4PD 75%、#5 90%、#12 90%であった。 冠動脈バイパス術に先立って右内径動脈剥離術が予定された。
試験管A:それではこの症例に関して術前評価、術中管理、術後管理、 術中の危機管理について質問します。 まずは術前評価としてこの症例の問題点を述べてください。
私:はい、まず69歳と高齢であること、肥満があること、 高血圧のコントロールが不良で虚血性心疾患と脳虚血を疑うエピソードがあり強い動脈硬化が認められる点です。
試験管A:そうですね。 この患者には肥満がありますが、肥満患者の麻酔上の問題点を指摘してください。
私:まず呼吸の点では横隔膜挙上による拘束性換気障害があること。 また、高い気道内圧、換気量を必要とし、無気肺をきたしやすく低酸素血症になりやすいことです。 循環の面では高脂血症や糖尿病を合併していることが多く、高血圧や心疾患、動脈硬化性病変に注意する必要があります。
試験管A:気道確保の点ではどうですか?
私:短頸で舌根沈下による上気道閉塞をきたしやすいので マスク換気が十分できることを確認してから筋弛緩薬を投与します。
試験管A:挿管困難とかは考えますか?
私:はい
試験管A:具体的に準備するものはありますか?
私:挿管困難の場合、気管支ファイバー、Intubating LMの使用も考慮します。
試験管A:この患者さんの冠動脈疾患の領域は?
私:下後壁から前壁にわたる広範囲病変だと思います。
試験管A:右目の視力低下についてはどのように考えますか?
私:一過性の脳虚血、TIA等を考えます。
試験管A:術前管理については以上です。
試験管B:それではこの症例にどんな麻酔をかけますか?
私:気管内挿管とし、全身麻酔で維持します。
試験管B:具体的にはどのように?
私:挿管時の循環変動を避けるためにフェンタニルを使用します。 静脈麻酔薬とフェンタニルで導入し、吸入麻酔薬で維持します。 また術中脳血流n低下を避けるためにnormotension、normocapneaで管理します。
試験管B:脳外科で術中使用するモニターをあげてください。
私:(脳波がでてこない....)体性感覚誘発電位とか....
試験管B:他には?
私:...(頭が白くなり何も思い出せない.....)
試験管B:ひとつ出てくればいいでしょう(笑)
試験管A:それではこの患者さんの術後管理ではどういうところに気をつけますか?
私:脳血流と冠血流を維持するために極端な血圧の変動を避けるようにします。
試験管A:呼吸の点からはどうですか?
私:術後の低酸素を防ぐために酸素投与を行います。
試験管A:血圧の管理にどのような薬剤を使いますか?
私:虚血性心疾患を合併しているのでニトログリセリンやCa拮抗薬を使用します。
試験管A:この患者さんが術後意識が低下したら何を考えますか?
私:脳梗塞や脳出血などです。
試験管A:そうですか。 それではこの患者さんが術後3日目に左手の痙攣をきたしました。何を考えますか?
私:......
試験管A:他に右内径動脈の手術をしているという点で思い浮かびませんか?
私:....
試験管B:最近あまりこの症例の麻酔はかけていませんか?
私:(小さく)はい...
試験管A:それでは難しい問題かもしれませんね。 次はコンサルテーション問題です。
症例:79歳男性(身長体重あったが、忘れました。肥満ではない) ASOにて下腿潰瘍があり大腿切断術が予定された。 心筋梗塞と脳梗塞の既往がある。 膿胸があったが軽快し、今は咳だけ残っている。 心エコーでは低左心室機能が認められている。 内服薬としてニフェジピンとEDPを服用している。整形外科医から手術の依頼があった。 患者は手術に対して不安を持っている。
試験管A:どうですか。難しいですか?
私:麻酔を実際にかけるとき難しいと感じると思います。
試験管A:この患者さんは調度肺炎が良くなってきており、 整形外科の先生からいつ手術をしたらよいか相談を受けました。抗血小板薬を内服していますが、どうしますか?
私:術前に中止します。
試験管A::どのくらい前からですか?
私:一週間から10日程度です。
試験管A:それでは術前の一般的な検査の他に追加するものはありますか?
私:抗凝固薬の影響を調べるには血小板凝集抑制検査をしなければなりませんが、 一般的には出血時間や凝固線溶機能検査を行います。
試験管A:そうですか。それではニフェジピンの内服はどうしますか?
私:術当日にも内服していただきます。
試験管A:患者さんの家族には今回の麻酔を受けるに当たりどのような説明をしますか?
私:手術を受けるメリットと全身状態に与えるデメリットを具体的にお話しします。 その上で、家族に同意が得られればお受けします。
試験管A:患者自身は数年前に大腿骨頸部骨折の手術を受けており、 術後痛みが強くてかなりつらかったようです。今回の手術にも不安を感じていますが、どのようにお話ししますか?
私:脊椎麻酔で行う場合、麻酔の持続時間をお話しし、 その後痛みが出てきた場合も痛み止めが使用できることをお話しします。 硬膜外麻酔は膿胸の既往や抗血小板薬の再投与などを考えますと行わないと思います。
試験管A:具体的にどのようなものを使用しますか?
私:NSAIDsやオピオイド、拮抗性鎮痛薬などです。
試験管A:わかりました。この患者さんが術後ICU 入室を予定されました。どのように説明しますか?
私:術後の呼吸.循環を24時間体制で管理すること、 ショック等の全身状態の悪化があれば人工呼吸管理をする場合があることです。
試験管A:そうですか。わかりました。 これで全ての質問に答えていただきました。B先生何かありますか?
試験管B:ありません。
試験管A:それでは終わります。
症例1の最後の質問はどのように答えればよかったのだろうか。 他に思い浮かぶ合併症といえば血腫や舌下神経麻痺ぐらいだが...最近やってない脳外がでたのにはまいったが、 試験管は穏和で和やかに進んだ。他の問題はよく遭遇する状況だったのでよかった。
次は実技。 部屋に 入るなり目の前に麻酔機が... 試験管Cより始業点検をやってみるように言われる。 酸素、笑気の確認、ボンベ圧、気化器、酸素モニター、蛇管、と順番に点検していく。 APLを確認しながらリークテストを行ったとき、どのくらい圧をかけますか?と質問される。 30cmH2O位と答えたらすかさず勉強してくださいといわれた。その後人形を前に...
試験管C:この麻酔機を使ってマスク換気をしてみてください。
私:マスク換気する(..が、人形にairが 入っていかない)
試験管C:換気ができない場合はどうしますか?
私:逆咬合にしてマスクをフィットさせ、下顎挙上を確認しながら... (といって換気してもやはりmagenに 入る)
試験管C:胸があがりませんねー。もう少し顎をもちあげてもいいかもしれませんねー。
私:(もう、通常ならばかなりもちあげているし、 人形なんだから勘弁してよと思っていたら胸があがった。頸椎病変のある人だったらかなりアウトな角度だよー。)
試験管C:マスク換気がうまくいかないときはどうしますか?
私:エアウェイがあれば使います。
試験管C:ほほう、どーいった?
私:オーラルエアウェイを使って...
試験管C:オーラルですか?
私:ネーザルの方が有効な場合もあると思いますが...
試験管C:それでは今度は挿管してもらいます。まず準備してみてください。 (チューブ、スタイレット、エアウェイ、マスク、アンビュー、ゼリーなどが置いてある)
私:(喉頭鏡のライト、チューブのカフを確認、こういう場所なので一応スタイレットを 入れゼリーをちけた)
試験管C:マスクは省略していいです。挿管してみてください。
私:(喉頭展開し、声門が見えたのでチューブを 入れるがどうしても先端しか 入っていかない。)声門を越えてもチューブが進まないので細いチューブを使った方がよりと思います。
試験管C:今日はこれしかないですからね。 入るはずですから 入れてみてください。あー、気管が曲がってるかなー。(といって挿管くんの横から気管をいじっている)
私:(人形壊れてるのに、ここまで無理させるか。 さっきのマスク換気もこの人形のせいなんじゃないの?と思いながら半ば強引にチューブを進めたら 入った。試験管Cはずっと気管を押さえていた。)
試験管C:はいりましたねー。カフは何cc ?
私:ますは5ccで
試験管C:ほーっ。いつも5ccですか。
私:その後カフ圧を見て調節しています。
試験管C:マスクで換気がどうしてもできない場合どうしますか?
私:麻酔をさまします。
試験管C:長時間効く筋弛緩が 入っていたとして。
私:その場合はすぐ挿管します。
試験管C:挿管できない場合は?
私:LMとかIntubating LMを使います。
試験管C:それでダメな場合は?
私:輪状甲状間膜を穿刺します。
試験管C:ほー。どんなもので。
私:ミニトラックなどの専用のキットがあればそれを使います。 なければ太めのサーフローに挿管チューブのコネクターとつけて換気を 試みます。
試験管C:あなたの病院には専用キットがありますか。
私:あります。
その後ダブルルーメンの準備。再びさっきの気管屈曲挿管君に挿管。やはり試験管Cは気管を押さえ、 入るまであきらめてくれない。ようやく 入って左に回したけど、気管屈曲挿管君に 入っていくはずがない。むりやり左の気管に 入れた。その後カフを 入れ、両肺換気、クランプして片肺換気の確認、聴診。 fiber前にここまで一気にいきますか?といわれたのでいつもここまで確認してからFiberをしますと答えた。 他に分離肺換気ができない場合は?Fiberで気管の左右の確認法、食道挿管の確認法なども質問された。
さらに神経刺激装置が置いてあり、閉鎖神経ブロックについて細かく質問された。 解剖、穿刺のめやす、刺激器の使い方(何A、何Hzでとかも..MGHに載っていてその通りにこたえたはず)、局所麻酔薬の量、注 入の仕方等...これはかなり詳しく答えられたので 試験管Cから厳しいつっこみはなかった。これで終了。
試験管Cはとぎれることなく質問責め。 疲れました。それにしても、試験管Dは見ているだけで一言も発せず。 まあ、ペアが質問しまくりだったので言うこともなかったのかもしれないが。