スミルノフ教授公式ウェッブサイト実況!麻酔指導医試験口頭試問>うっきーさん

最終更新:2003年7月20日

「うっきー」さん

神戸のポートピアホテルが試験会場だった。 まず、2階の控え室のようなところに集合。 時間厳守となっているが、監督がバイトの人たちみたいで、遅れた人がいても特に何も言っていなかった。

ここでは、試験の注意事項を聞き、合否の返信用封筒に記入をした。 この部屋では勉強は自由。最後の詰め込みができるので、本とか持ってきたほうがいい。 受験番号順に横に座るのだが、試験は縦の列をグループとした3グループにわかれた為、必ずしも番号の早い順ではない。 1グループずつ(大体10人くらい)バイトの人について移動した。業務用エレベーターに乗って上の階へ・・・。

試験はホテルの1室で行われる。そのフロアーは貸切らしい。 おっ金かかってるなー、と感心する。 1人につき2部屋が準備される。 部屋の前には受験生1人につき1人の付き添いがつく(これがうわさのかわいいお姉さんがいる所?)。 出口は客室用のエレベーターからなので、一方通行になっている具合。受験生同士の会話は禁止。(当たり前だよね。)

註(スミルノフ教授より):先生が受けた大昔はね、入口と出口の区別もなくて、皆そこら辺で待ちながら、 お互いに最終チェックをしてたよ。終わって出てきたら大変だったねー、 「何聞かれました?何聞かれました?」って見知らぬ受験生が殺到してくるのさ。

「うっきー」さん:第1会場

悪性高熱

症例:問題文は回収されるので大筋だけ・・。 19歳男、下腿骨折に対し手術予定。既往歴とくになし。全身麻酔を行ったところ急な体温上昇を認め、悪性高熱疑いで手術は一旦延期となった。改めて、再手術を予定した。

やった!ラッキー。直前にLISAの特集読んでおいたんだよね。とちょっと余裕が出てきた。

「失礼します。」

自己紹介(大学名は言わないこと!)をして、座ってくださいと言われるまで自分から勝手に座らない等の先輩からのマニュアルどうりのお教えを守りながら・・・。

2人の試験官(1人は男性、1人は女性)がテーブルをはさんで座っていた。 先生たちはにこやかで雰囲気よさそう。A先生は仏様のような方でした。(性格が)

試験官A:悪性高熱に効く薬がありますね。名前はなんですか?

私:ダントロレンです。

試験官A:どのように使うのですか?

私:1mg/kgで最大10mg/kgです。

試験官A:ダントロレンは何で溶解するのですか?

私:蒸留水です。

試験官A:先ほど最大10mg/kgと言われましたが、何をもって治療が効いていると判断するのでしょうか?

私:体温の上昇が止まったとか・・。

試験官A:そうですね、あと、悪性高熱の時、筋肉とかはどうなります?硬さとか・・。

私:あっ、硬直します。

試験官A:そうですね、治療が効いてくると硬直がとれてきますね。

私:はい。

試験官A:あと、他の臓器にも影響がありますよね。体のどこかが詰まったりしますよね・・・・。

私:腎臓です。

試験官A:尿の色とかはどうなりますか?

私:赤色になります。

試験官A:そうです。ポートワイン尿と言われていますね。それでは、次回この方が手術を受ける時にあなたは麻酔をどのように行いますか?

私:必ずしも全身麻酔が必要ではない手術ですので、硬膜外麻酔で行うつもりです。局所麻酔薬は悪性高熱を引き起こさないとされていますので。

試験官A:もしも硬膜外麻酔の効きが悪い場合はどうしますか?

私:吸入麻酔薬とサクシニルコリンはトリガーとなりますが、静脈麻酔薬と笑気と非脱分極性筋弛緩薬は安全とされていますので、静脈麻酔中心で笑気を併用すると思います。

試験官A:動脈圧ラインは確保しますか?

私:とらないつもりです。必要ならば後でとることができる体位ですから。

(多分とるが正解だったのでしょうね。悪性高熱を発症したら血液ガスが必要ですから。でも何も言われなかった。)

試験官A:麻酔器は何か特別の準備をしますか?

私:揮発性吸入麻酔薬が残存しないように、ソーダーライムを新品にして、酸素を流してウォッシングしておきます。

試験官A:蛇腹とかバックとかはどうするのですか?

私:ディスポにします。

試験官A:前回使った麻酔器を使うことはどう思いますか?

私(質問の意図がよくわからなかったが)「使用しないほうが言いと思います。」

試験官A:そうですね、麻酔薬が残っているかもしれませんからね。

(ウォッシングしても??)

・・・とこんな感じで完全に誘導しながらの質問形式で答える方はすごく楽でした。絶対に落とさないよ・・・というオーラがにじみ出ていましたから。

試験官A:B先生なにかありますか?

試験官B:それでは、わたしがこの人の母親だと思って、次回の悪性高熱について、ムンテラしてください。

ちょっと予想外の展開なだけにたじろぐ。

私:悪性高熱はある麻酔薬を引き金として高熱を起こす、何万に一人の確立の珍しい病気です。リアノジン受容体というものの遺伝子異常が指摘されています。(確かそんな感じだったよね・・・?)家族性に起こることが多いです。麻酔中急な高熱がでて、以前は死亡率が高かったのですが、今は特効薬がありますので、死亡率はかなり減りました。

試験官B:次の麻酔は大丈夫なのですか?

私:ある特定の麻酔薬に反応しますので、次回は悪性高熱を引き起こさないとされている薬を使いますからまず大丈夫です。

試験官B:この子には弟がいるのですが、弟がもし手術になったりしたらどうしたらいいのでしょう?

私:定期手術であれば、筋生検という検査で診断がつきますし、手術を受ける前に身内に悪性高熱の人がいるということを言ってください。麻酔科のいる病院で手術を受けるのがいいと思います。

・・・とこんな感じで進んだ。

実技試験

次は実技試験。麻酔器の始業点検。

試験官B:日本麻酔学会の始業点検の指針は読みましたか?(いつもにこやか)

私:はい。

ところがいざとなると細かいとこは忘れている。前日にローテーターにつき合わせて練習したのに・・・。 まずマニュアルどうりに後ろのボンベからいったが、ボンベがついていない。

試験官B:ボンベがないからそこは抜かしていいよ。

それから、配管の点検、流量計、低酸素防止機構、気化器もチェック。酸素濃度計はなかったような・・。(うちの病院にも無いので出たらどうしようと心配していたが)

試験官B:他には?

・・と二酸化炭素吸収装置を指差す。 回路の漏れなどをチェックするが、わざと漏れを作ってあるなどという意地悪いまねはしていなかった。 始業点検も抜けているところはフォローしながら進んでくれた。

次は挿管。

試験官A:何か足りないものはありませんか?

と言われて、確認する。バイトブロック、聴診器、チューブ、ゼリー、注射器、喉頭鏡・・・。

私:はい。

ここでテープがなかったのだが、これはひっかけだったのかは今でもわからない。 まず、麻酔器を使ってマスク換気。以前人形の換気は難しいと書いてあったが、意外と楽勝。人形が改良されたのか?  挿管もスムーズ。

以上で1例目は終わりで退室。なーんだ楽勝ジャン。びびって損したー、と余裕をかましていたのでした。この時までは・・・・。

「うっきー」さん:第2会場

喘息患者の麻酔

症例:(問題の詳細は覚えていません!こんな感じだったと思います) 44歳男性。身長165cm、体重70kg。胆石のためラパ胆の予定。既往歴に喘息がある。喫煙を1日20本行っている。喘息に対して、ステロイド、気管支拡張薬の吸入と、テオフィリンの内服治療を行っている。

時間になっても私の前の人が出てこない。10分近く延長している。そんなに突っ込まれているのだろうか? やっと出てきて、入室した。 またもや、男性と女性の試験官であった。ちょっとダンディーなC試験官はかなりはっきりものを言う攻めのタイプ。1例目の部屋とはまるっきり違う雰囲気に包まれた・・。

試験官C:喘息がある方で、タバコを吸っていますね。もしも外科医から1週間前にこんな症例あるんだけど何かやっておいた方がいいかなーって相談受けたら先生はどうします?

私:まず、呼吸機能検査、血液ガスをしてもらいます。あと、呼吸機能訓練、吸入療法をし、禁煙を徹底して、気道の浄化を図ります。

試験官C:1秒率だけど、どのくらいだと危ないと思う?

私:(結構悪くってもやっちゃうけどなー。ここは低めに言うべきか、高めに言うべきか?)70%以下で閉塞性障害があると考えられますが、60%以下位でしょうか?

試験官C:50%以下だと術後呼吸器合併症を優位に起こし易くなると言われています。

私:はあ。

試験官C:術前の内服薬はどうするのですか?

私:そのまま続けます。

試験官C:ネオフィリンはどうしますか?

私:持続で流したりすることもありますが・・・。

試験官C:ネオフィリンは血中濃度が測れるからそれを参考にしないとね。

私:はい。(実は測ったことがない・・・。)

試験官C:麻酔薬とネオフィリンの相互作用は何かありますか?

私:ハロセンと併用すると心臓の被刺激性が増します。

試験官C:前投薬はどうしますか?

私:呼吸機能が悪ければ、ドルミカムを少し少なめに3mgから3.5mg筋注します。

ここで予想もしない展開に。

試験官C:えっ!!ドルミカムそんなに入れるの?先生は普段まさか5mgとか10mg使っているわけじゃないでしょう?普段どのくらい使っているの!?

私:(だって、40代で70kgもあるんだよー!)普段は若い人なら0.06〜7mg/kgで、少し年齢が上がると0.05mg/kg、60歳以上とかでは0.04mg/kg位に減らしています。

試験官C:多いねー。どろどろになって来ない?

(えー?そんな多いか?うちの大学ではみんなそうしてるし、トラブル起こったなんて聞いたことないよー。それどころか全然効いてない人だっているのに・・・。)

私:でもうちでは担送時にしていますので、問題になったことはありませんが・・・。

試験官C:(少しあきれたように)ドルミカムの過量投与で死亡事故とかも起きているんですよ。気を付けてくださいね。(D試験官もうなづく。)

(えー?そんなに多いの?多いの?うちの大学はおかしいの?2人に責められ、ここでかなり動揺してしまう・・。)

試験官C:麻酔はどのように行いますか?」

私:硬膜外麻酔併用の全身麻酔でします。循環動態は安定しますし、場合によって開腹する可能性もありますから。

試験官C:導入は?

私:プロポフォールで導入し、GOS、ベクロニウム、フェンタニルで挿管します。

試験官C:では抜管はどうやってしますか?

(ここから先は実は頭が真っ白になってしまったため記憶が定かでない)

私:まず、リバースはしません。筋弛緩モニターを使う方法もありますが、筋弛緩がきれてくるまでねかせておき、筋弛緩が切れてから覚醒させて抜管します。

試験官C:どうやって筋弛緩が切れたのを確認するんですか?

私:(さっき筋弛緩モニターのことはちらっと言ったつもりだったので、それには触れず)自発呼吸がしっかり出てきて、手をしっかり握れるかを確認して・・・。

試験官C:えー!喘息の患者さんを全覚醒してから抜管してるの?起こして苦しがっているところを手を握らせたりさせてるの?

私:深麻酔下に抜管する方法もありますが、挿管やマスク換気が簡単だったかを考慮しないと・・。

試験官C:本当に普段そんなことしてるの!?本当のこと言わなきゃだめだよ!嘘言っちゃいかんよ?普段している本当のことを言いなさい!(本当のこと言ってるんだってばっ!!。)

(もうすでに思考回路は完全に止まってしまい、しどろもどろになって)

私:挿管の時に発作が起きなければ、まず抜管の時も大丈夫なことが多いので・・・。(と消え入るような声で答えた。もうこれ以上いじめないでーと半ば哀願の目をしていると)

試験官C:まあね、確かにそれは言えるけどねー。

(と初めてのフォロー。マスカラで目力UPが効いたのか!?女性陣、マスカラは必須です!)

試験官C:そんなことしなくても、筋弛緩モニター使えばいいんじゃないの?

私:(さっき言ったのにー。聞こえてなかった?)うちの病院には筋弛緩モニターがないんです・・。

試験官C:(ずるっとこけて)筋弛緩モニターもないの?どうするの?指導医の実技試験に筋弛緩モニターも出るんだよ。君は今日は運良く出ないけどねー。

私:使ったことはあります。大学にはありましたから。

試験官C:10万位で買えるでしょ?買ってもらいなさいよ!D先生が怒ってたって上司に言っときなさい。

D先生笑っている。(スミルノフ註:ここで、「私が怒ってたって言っときなさい」と言わないところが、C先生らしいですな。)

私:上司に相談します。(うちの病院けちなんだってー。何でもそろっている大学とは違うんだからー。)

試験官C:では、術中気道内圧が上がって換気困難になりました。何が考えられますか?

私:(えー、まだ続くの・・?お願いだからもう終わってよー。)喘息発作、気胸、片肺挿管、チューブの屈曲、えーと・・・分泌物。

試験官C:そうですね。タバコ吸いですからね。分泌物も多いでしょう。どうやって鑑別しますか?

私:まず、チューブを確認し、用手換気しながら聴診します。喘息であれば呼気時にwheezeが聴取されますし、片肺、気胸なら片方の呼吸音が減弱しています。

試験官C:片肺になっているかはどうやって確認するのですか?まあファイバー入れちゃえばいいんだけど。

私:(先に答え言わないでよー。)・・・・。

試験官C:体表から押してみてカフの位置を確認する方法があります。是非試してみてください。(と下部頚部を押してみせる。)

私:はあ。

試験官C:術後硬膜外には何を使いますか?

私:モルヒネはヒスタミンを遊離するため、フェンタニルを併用し、0.25%のマーカインを時間2ccでいきます。

ここまででかなりクタクタに・・・。次は実技。そばには蘇生用人形と、腰麻用人形が置いてある。嫌な予感・・・。

実技試験

試験官C:実技は腰椎麻酔の手技です。ソケイヘルニアの手術の症例です。

(ぎゃー!やっぱり・・。実はうちの大学は硬膜外主義で腰椎麻酔はこの5年間で10回位しかしたことがない。しかもここ数年していない・・・。)

試験官C:薬は何を使っているの?

私:ペルカミンです。(かろうじて使ったことのある唯一の薬)

試験官C:この手術ならどこまで効かす?

私:Th8位までです。

試験官C:どちら側を下にしますか?

私:特に気にしませんが・・・(言ってからふと失敗に気付く。高比重だから患側をしたにするんだった!以前の数少ない腰麻はヘモやCsecでしかやったことがないので気にしていなかったのだ)

私:(あわてて)等比重のマーカインは少し低比重気味なので患側を上にします。 (と意味不明のことを言ってごまかす。幸いそれ以上は突っ込まれなかった。)

局所麻酔からはじめた。一応それなりの練習はしてきたので、針を刺す。ところがこの人形ちゃんとよくできていて、一応皮膚の下には靭帯、硬膜、くも膜下腔、椎体があるらしい。そうとは知らずに正中からかけ離れたところに針を刺し始めた。途中で気づき

私:あっ!正中と全然違うところを刺してしまいました。

試験官C:減点だねー。

あせってもう一度正中を探ってみる。人形はデブ系でなかなかわからない。

試験官C:普段は何ゲージ使っているんですか?

私:(てっきり局麻の針のことと思い)25ゲージです。

試験官C:今日は23ゲージしかないからね。

ここで初めて脊麻針のことと気付く。実は脊麻針の種類すらよく知らない。まあいいか、間違いではないし。とりあえず針を進めてみた。 プツっという感触あり、内筒を抜いてみるが何も出てこない。

私:これ、水がでるんですか?

試験官D:ちゃんと出ますよ。硬膜とかもありますから。先生それ多分硬膜外に入ったところじゃないの?

試験官C:センセー、また減点だよー。

(完全にからかわれている!?これは立場を利用したセクハラだ(怒)!!)

もう少し進めてやっとバックフローがあった。針を右180度、左90度回転してみる。 そして薬を注入して終わり。安堵感に包まれ半ば放心してると

試験官C:それからどうしますか?

私:えっ、あ、仰臥位に戻します。麻酔域の確認をします。

試験官C:血圧も測定しますね。麻酔の前に用意しておく薬は何かないですか?

私:エフェドリンを吸っておきます。 (みんなそうしてるの?無駄になるといけないので血圧が下がってからしか吸わないんだけど・・。)

試験官C:そうですね。では血圧はどのくらい測っているのですか?

私:1分間隔で計ります。

試験官C:ずっと計っているの?

私:(よくわからないけど多めに言っておいた方がいいかなと思い)20分位でしょうか?

試験官C:20分間もずっと1分で?

私:(あわてて)血圧が落ち着いてきたら2.5分にします。

試験官D:脊椎麻酔の指針では、15分間2分おきに測定と書いてあります。読んでおいてくださいね。

私:はい。実は普段脊椎麻酔をあまりしていないんです・・・。(いざとなったら正直に言えと上司に言われていた)

試験官C:へー、まだそういう所があるんだねー。(と独り言。)

以上で私の試験は終わった。2つ目の部屋でかなりブルーになってしまった。でも、これだけボロボロでも通ってしまったのでどうやら試験官は根っからの意地悪ではないらしい。 私の同僚のWさんは150cm、120kgの開腹胆嚢摘出術、狭心症と高血圧と肝硬変でヘビースモーカーの患者の膝関節鏡、実技が始業点検、挿管、CVカテーテルだったそう。CVでは鎖骨下穿刺の気胸の時、どこからどんなドレーンを入れるかまで聞かれたらしい。 Tさんは妊娠中毒症の緊急帝王切開と、重症リュウマチの頚椎の症例。実技はやはり始業点検と挿管、それとスワンガンツカテーテル。 名前が後になるほど実技は複雑といううわさは本当だった。 ちなみに私たち3人はこの後実地試験も受けたが、これまた本当にいろーんなハプニングが続出!本当に試験って何があるかわからない。皆さん、それに負けない以上に実力つけておいてくださいね。

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