スミルノフ教授公式ウェッブサイト>実況!麻酔指導医試験口頭試問>「まつ」さん
最終更新:2003年7月20日
当日8時40分控え室集合。若干1名遅刻してきたが、特にお咎めなし。説明はT大のH教授。資格試験で落とす試験ではない...等、おきまりの説明のあと、試験室へ。試験室の前では、荷物を全部置くようにいわれ、症例問題をわたされる。助手の女性の方がとてもかわいいので、何となく嬉しくなる。おまけに症例問題用紙にミスプリを発見し、それをきっかけに会話しようとしたが、うまくいかなかった...。と、そんなことをしているうちに時間。部屋に入るようにいわれる。部屋は思った以上に狭く、ひとつの机を挟んで教授2人と向かい合うのは、はっきりいってかなりのプレッシャー。
症例1:70歳女性。158cm,52kg。%VC82、%FEV78、残気率32%。気管支喘息で、4年前に重症発作をおこし、チアノーゼになった事がある。2週間前から風邪をひいている。熱は下がったが、咳は残っている。乳癌切除術が予定された。
試験官A:それではまず、この症例で注意する点は何ですか?
私:高齢、気管支喘息の重症発作歴があり、上気道炎症状が残っている事でしょうか。
試験官A:もう予定されているんですが、この麻酔、先生ならどうしますか?
私:(このぐらいなら普通やっちゃうよなー、でも大学の先生だし)できれば延期して咳症状がなくなってからしたいですが..。
試験官A:延期しますか..。どのくらい延期しますか?
私:(えー)2週間ぐらいは延期したいですが..。
試験官A:過敏性は2週間くらいでなくなるんですか?
私:(どうだったけ)まあ2週間ぐらいは最低必要かと..。
試験官A:じゃあ、延期したとして、手術はいつ頃に予定しますか?
私:(質問の意味がわからず)それは一日のうちの朝か昼かという事ですか?
試験官A:そうですね。
私:(そんなこと科長もしたことないのに、わかるわけないだろー!だいたいそこまで麻酔科が決める権限あるの?まさか空いた所に入れるなんて言えないし..。)できれば朝一番からしたいですが..。
試験官A:それはどうしてですか?
私:(???どうしてっていってもねえ..。まさか午後からは理由がないっしょ)絶食で臨みやすいし、術後ICUという事も考慮にいれれば、午前から組んだ方が好都合と思いますが..。
試験官A:それで前投薬はどうしますか?
私:比較的軽めのMDZとかを使うと思います。
試験官A:アトロピンは使いませんか?
私:なるべく使わないと思いますが。
試験官A:ほおー。それはどうして?
私:(どうしてって、あんたは使うんかいな)気道分泌物の排せつがしにくくなるからです。
試験官A:麻酔はどうしますか?
私:喘息があるので、propofolとVCBで導入し、維持はsevoを使うと思います。
試験官A:最初からpropofolを使うんですか?
私:(意味がわからず)ええ。最初から使っていいと思うんですが..。(導入につかっちゃ駄目ってことないしょ)
試験官A:ところで、術中の鎮痛はどうしますか?propofolだけで大丈夫ですか?
私:(だからsevoも使うといってるしょ)sevoで調節しますが、それでも困難な時はfentanylを使用すると思います。
試験官A:そうですか。何故sevoを使いますか?
私:(これって何が目的の答えなの??)気管支拡張作用があるからです。
試験官A:ところでリバースはしますか?
私:(必ずしも禁忌ではないと思ったが)しないと思います。
試験官A:それはアトロピンが悪いんですか、それともワゴですか?
私:両方だと思いますが...。
試験官A:あと術後は何に注意しますか?
私:(???)自発呼吸がしっかりしているか?wheezingがないか、あと循環動態とか...。
試験官A:それから、術前に何か処置はしておいた方がよいですか?
私:できれば3日前ぐらいからは気管支拡張剤の吸入と呼吸訓練、あと場合によってはネオフィリンの静注とかも必要になるかもしれませんが。
試験官A:それでは、ネオフィリンの静注をしていても喘息になったらどうしますか?
私:とりあえずステロイドを使います。
試験官A:ほおー。ステロイドは何を使いますか?
私:(なんと、過度の緊張の為ここで私は頭が真っ白になり、どうしてもソルメドの名前が思い出せなかった)ええーと、あの、あの、メチルプレドニンを500mgから1gぐらい静注します。
試験官A:ああ、ソルメドですね。
私:(そうそうそうですよ)そうです!!!
試験官A:あとは何かしますか?
私:sevo濃度をあげるとか、ボスミンの皮下注とかですか。
試験官A:sevoとボスミンとどちらを先にしますか?
私:sevoだと思います。
試験官A:そうですか。じゃB先生の方は何かありますか?
試験官B:そうですね..。じゃ術中それ程出血していないのに突然循環不全になったら何を考えますか?
私:そうですね..。まずAMIそれから喘息発作、あと気胸を考えます。
試験官B:じゃ突然PIPが18ぐらいだったのが、32と上昇したら?
私:気胸か喘息発作と思いますが。それと片肺挿管になった事も考えられます。
試験官B:まず何をしますか?
私:(そんなのいくつか同時進行じゃないの?)チューブ位置の確認、純酸素での手動換気、sevoを上げる、肺音の聴取、人を呼ぶ等をほぼ同時にしますが。
試験官B:そうですか。それでは次の症例を渡します。
症例2:58歳男性。精神薬フェニトイン、イミプラミン等を長期に飲んでいる。脊柱管狭窄があり、インドメタシンを服用。根治的前立腺全摘術が予定されている。
試験官A:こういう症例を先生が泌尿器科医に相談されたとしましょう。わたしが泌尿器科医になりますから、先生がいろいろアドバイスして下さい。じゃ先生、こういう症例なんですけれど、何に気をつけたらいいでしょう?
私:(もうへとへとで思考能力なくなっている)長期の抗精神薬服用です。
試験官A:長期に飲んでいると何に気をつけたらいいんですかあ?(非常に慇懃無礼な言い方、もしくは馬鹿にされているかのように私には聞こえた。)
私:悪性症候群ですか?(こちらも殆ど質問調、もしくは哀願調である)
試験官A:悪性症候群ってなんですかあ?そんなに怖いんですかああ?
私:かなりの死亡率だと思いますが。ほぼ悪性高熱と同じ様な症状だと思います。
試験官A:悪性症候群って術中も起りますか?
私:おこると思いますけど..。
試験官A:ところで、術中循環虚脱が起ったら何を考えますか?
私:(あ、)長期に抗精神薬を服用している患者ではカテコーラミンに反応しづらい低血圧等の循環虚脱を起こすことがあります!
試験官A:ノルアドは効きますか?
私:ききづらいと思います。
試験官B:それでは、研修医には何を注意するように言いますか?
私:(それって今まで言ってきた事じゃないの?)先程言った術中循環不全をおこす危険性、それから悪性症候群、術後覚醒遅延の可能性等に注意するように言います。
試験官B:じゃ先生、もし研修医が脊柱管狭窄症でEpiできないといってきたらどういう麻酔にしますか?
私:(まず代わってみる、といいたいが、これって違う麻酔法を考えれって事かいな?)バランス麻酔か、完全静脈麻酔かで行くかも....。
試験官B:そうですか。じゃ時間なので、このへんで。
試験部屋を出ると目眩で倒れそうな程、ぐったり。なんでこんなに意地悪いのだろうという思いばかりが、頭をよぎる。とともに、次で挽回しないとやばいかも..という不安も頭をよぎる。休む暇もなく継ぎの部屋へ。
次の部屋ではT大のO先生。とても穏やかな雰囲気である。
試験官A:お疲れでしょうけど、もうちょっとがんばって下さいね。前の部屋ではどうでしたか?
私:いやあ、かなりしごかれました。
試験官A:そうですか?あまりこわい先生じゃないんだけどなあ。まあ、あまり緊張しないで、普段しているとうりに答えてください。じゃ、これ読んでください。
症例:時々の頭痛、発汗があり、精査の結果、副腎腫瘍と診断された。エコーで心機能は正常。左室肥大がある。血圧198/110。HR92。ノルエピネフリンが高値を示した。
試験官A:先生はpheochromo cytomaはかけた事ありますか?
私:そんなに多くはありませんが、あります。
試験官A:そうですか。ではこの症例はどうですか?手術はできますか?
私:心機能は正常なので、手術は可能だと思います。ただ、もう少し血圧をコントロールしてからが望ましいですが。
試験官A:麻酔は何でしますか?エピは入れますか?
私:全身麻酔とEpiでします。
試験官A:もし研修医にやらせるとしたら、どんな事に注意するように言いますか?
私:気管内挿管や腫瘍操作時の血圧変動です。
試験官A:モニターはどんなものをしますか?
私:IVH、人にもよりますが、S-Gあと、経食エコー等ですか?
試験官A:はあ、もっとpopularなものはないですか?
私:(もしかして?)動脈ルートですか?
試験官A:そうですね。
私:(今の時代にAルートもいれずにする麻酔科医がいるんかいな!!)
試験官A:血圧コントロールを術前にしてもらうとしたら、何を使いますか?
私:Ca拮抗薬等ですか。
試験官A:もし術中、血圧が急上昇したら、何をしますか。また術者にはどうしてもらいますか?
私:まず、術操作を一時的に止めてもらい、降圧薬を使います。また、はやく副腎静脈を結紮してもらいます。
試験官A:そうですね。体循環に入らないようにですね。血圧が198/110と高いと何が心配ですか?
私:脳出血、心筋梗塞、解離性動脈瘤破裂等ですか。
試験官A:術後は何に気をつけますか?
私:一般的ですが、循環動態と呼吸状態です。
試験官A:ところで、術後血圧が低い場合、ノルアドがよく効きますか?
私:いえ、時としてダウンレギュレーションの為に効かない事があります。
試験官A:そうですね。先生はずいぶんよく勉強しておるし知ってますね。もういいですかねえ。(と、試験管Bの方をみる。)
試験官A:あ、ところで(と、茶封筒の中からデスポのエピセットを見せられて)これは何ですか?(とフィルターを指差すので)
私:フィルターですね。
試験官A:このセット使った事ありますか?(といいながら)私はこれ初めてみるなあ〜。
私:何回かは使った事ありますが。
試験官A:先生はガラスのシリンジ使ってますか?それともデスポの使いますか?
私:どちらかというと、抵抗の感じが分りやすいので、ガラスを使います。
試験官A:先生は抵抗消失に水を使いますか?それとも空気?
私:なるべく入らないように空気をつかう事が多いですが..。
試験官A:ところで、先生はTest doseしますか?
私:はい。
試験官A:その目的は何ですか?
私:血管内注入や脊椎麻酔となってない事を確認する為です。
試験官A:ThとLで何か違いますか?
私:Thの方がやや傾きが大きくなると思いますが。あと、外科医がいる中でどのくらい辛抱してEpiができますか?とかどのくらいtubingしますか?等の一般的な質問がいくつかあった後、ごくろうさまでした、といわれて終了。
症例用紙については、試験中もずっとみてていいが、書き込みは駄 目なこと、また、ストップウオッチで時間経過をすごく気にしていた事が印象的でした。
「まつ」さんは、指導医の資格を取得後、某総合病院に初代麻酔科科長として赴任しましたが、病気のために37歳の若さで逝去されました。改めて「まつ」さんのご協力に感謝するとともに、ご冥福をお祈りします。