スミルノフ教授公式ウェッブサイト実況!麻酔指導医試験口頭試問>「まつ」さん

最終更新:2003年7月20日

「フェンタ将軍」さん

試験を行う部屋が2つで30分づつ計60分。各室には2人の試験管。 各室の前で待っている間に症例問題を渡される。 入室前、中から二人の試験管の笑い声も聞こえ、思ったよりも和やかな雰囲気であった。

「フェンタ将軍」さん:第1会場

症例1:58歳女性。急性胆嚢炎の診断で、緊急胆嚢摘出術の依頼。血圧150/80、 HR 100。喘息の既往があり、10年来テオフィリンの内服、気管支拡張薬の吸入をしている。1ヶ月前に動けなくなるほどの発作を起こし、アミノ フィリン・ステロイド点滴、酸素吸入で軽快した。現在も喘鳴がある。

試験官A:それでは今読んで頂いた症例について質問します。まず、先生なら、この麻酔を引き受けますか?

:はい、急いで手術しなければならないとしたら、引き受けます。

術前評価と管理

試験官A:そうですか。術前にどんなことに注意してどんなことをしますか?特にこれだけはして欲しい、という検査はありますか?

:現在も喘鳴があるということですが、この喘鳴がどの程度のものかが気になりますが、吸入などをしてもらって、場合によってはアミノフィリンやステロイドの点滴などを行って喘鳴を軽快させます。あまり時間的には余裕がなさそうなので、心電図や胸部写真などの一般的な検査以外に特に検査しなくてはならないものはないと思います。

麻酔管理

試験官A:では、この患者さんにはどんな麻酔をしますか?

:開腹術ですので、Th9〜11ぐらいでの硬膜外麻酔併用の全身麻酔で行います。

試験官A:喘息の患者さんに硬膜外麻酔を行うことについてはどうお考えですか?

:うーん、確か硬膜外麻酔によって交感神経が遮断されて副交感神経優位になり、喘息発作を誘発する可能性があるかもしれませんが、術後鎮痛のことなどを考えると、やはり硬膜外は入れたほうがいいと思います。

試験官A:硬膜外に入れる局所麻酔薬が気管支に与える影響についてはどうですか?

:え?。。。局所麻酔を硬膜外に入れると。。。その。。。交感神経がブロックされて

試験官A:いや、そういうことではなくて、硬膜外にいれた局所麻酔薬も血中に吸収されますよね。

:は、はい。

試験官A:全身麻酔の導入の時に、気道の過敏性を抑える目的でリドカインを静注したりすることは知っていますか?

:あ、はい。知っています。(そういうことか)

試験官A:硬膜外から局所麻酔薬が吸収されて、血中濃度が上がり、その局所麻酔薬が気管支痙攣を抑制する、というふうに言われていることは聞いたことがありましたか?

:いえ、そのことについては知りませんでした。

試験官A:そうですか。では、全身麻酔の導入はどうしますか?

:えー、特にフルストマックとかでなければ普通に行うと思います。

試験官A:先生の普通ってどんなんですか。教えてください。

:はい。まずプロポフォールを入眠量静注し、入眠を確認してマスク換気ができることを確認してからベクロニウムをパーキロ1mg程静注します。(あとで考えると0.1mg/ kgだったが、別につっこまれなかった。)同時に吸入麻酔薬を用いて麻酔を深くしてから挿管します。

試験官A:そうですか。先生はサクシニルコリンは使いますか?

:あまり使いません。

試験官A:今まで使ったことはありますか?

:5、6回ぐらいでしょうか。

試験官AB:時代は変わりましたねー。(笑)

試験管A:そうですか。ところで、この患者さんの場合、モニターはどのようなものが必要ですか?

:もちろん心電図、血圧計、パルスオキシメーター、カプノメーターも必要です。この方は喘息を合併しているので、術中血液ガス分析をすることも考えて、Aラインも入れます。

試験管A:パルスオキシメーターとカプノメーターがあるのに動脈血をとる必要はありますか?

:や。。。そうですね。。。もしかしたらパルスオキシメーターやカプノメーターが実際の値と違う場合もあるかもしれませんし。。。(失敗したか?)

試験管A:そうですか?

:まあ。。。(こまった)

試験管A:まあ、1回ぐらいキャリブレーションのつもりでとると言うことですね。

術後鎮痛・術後管理

試験管A:では、術後鎮痛について伺いますが、先生はどのように術後鎮痛を行いますか?

:はい。いつも硬膜外に持続注入のポンプをつけます。中身は0.25%のブピバカインで時間4ml程度流します。少量のフェンタニルを混合します。

試験管A:モルヒネは使いませんか?

:ええ。あまり使いません。

試験管A:そうですか。ま、仮にモルヒネなどを使ったとしてですね、術後病棟で患者さんの呼吸状態が悪くなって呼ばれたとします。先生はどうしますか?

:えー、そうですね。まず呼吸状態の悪化が硬膜外のせいだと疑って、まず硬膜外の注入をやめると思います。まあ、呼吸状態によってまず酸素投与や場合によっては気管内挿管などの気道確保が必要だと思いますが。麻薬による呼吸抑制も疑い、ナロキソンを投与すると思います。

試験管A:ナロキソンはどのように投与しますか?

:(正直に言ってナロキソンはほとんど使ったことがないからこまった。)まー、とりあえず半筒静注して、効果をみてもう半筒と。。。

試験管A:そうですか。先生はそうやってずっと静注し続けるんですか?ナロキソンは半減期が短いですよね?

:やー、そうですね。まー、様子見ながらですかねー。(どうすればいいんだ?)

試験管A:こういう場合、最近はナロキソンの持続投与をするといいようですね。

:ああー。そうですか。(知らなかった。)勉強不足ですみません。

試験管A:いや、いいんです。私からはこのぐらいですが。

試験管B:ナロキソンの副作用にはどんなものがありますか?

:う。。。や、すぐには思い浮かびません。

試験管B:まあ、呼吸抑制が拮抗されると同時に鎮痛作用も拮抗されますからね。そうなるとどうなりますか?

:あ、血圧が上がったり、ですか?

試験管B:ま、そんなところですよ。ときに、こういう喘息発作の患者さんと、COPDの急性増悪との鑑別が難しいことがありますね。鑑別点はどんなところですか?

:や。。。すいません。わかりません。

試験管B:まあ、喘息の発作の人は普段特に症状がない、ということと、COPDの人はたいていヘビースモーカーですね。

:はああー。

試験管B:この患者さんについては、このぐらいにして、今度はこれを読んでください。(紙を1枚渡される)

症例2:60歳女性。胆石症にて、腹腔鏡下胆嚢摘出術を予定。RAでステロイドを内服。慢性腎不全(24時間クレアチニンクリアランス:16)、貧血を認め、Hb8.5。環軸椎亜脱臼がある。

試験管A:こういう患者さんがいる、ということで、外科医からコンサルトをうけたんですが、先生は、この患者さんのリスクについて、どのように答えますか?、という質問ですが、まず、慢性腎不全が気になりますよね。

:ええ、クレアチニンクリアランスが16しかありませんから、麻酔や手術の侵襲によって、術後透析が必要になる可能性がある、と答えます。

試験管A:そうですか。麻酔はどういう麻酔にしますか?

:腹腔鏡下の手術なので、硬膜外麻酔併用の全身麻酔で行うと思います。この患者さんは環軸椎亜脱臼があるので、気管内挿管は注意しなければならないと思います。場合によっては、意識下でのファイバー挿管も考えると思います。

試験管B:先生はファイバー挿管は得意なんですか?

:いえ。得意ではありません。

試験管B:そうですか。挿管時に、喉頭展開したときの見やすさの分類は知ってますか?

:はい。Cormackの分類です。

試験管B:硬膜外を入れるといいましたが、先生の施設では、こういう腹腔鏡の手術でも硬膜外をいれますか?

:はい。普通はいれます。

試験管A:貧血がありますがそのへんのリスクについては?

:確かに貧血がありますが、手術が腹腔鏡下の胆摘ですので、あまり出血はないと考えられるので、恐らく輸血の必要はない、と答えると思います。

試験管B:この患者さんはステロイドを内服していますが、ステロイドカバーについてはどうですか?

:(やっぱりきたか)もし、プレドニンで10mgぐらい内服しているとしたら、ステロイドカバーの必要があると思います。

試験管B:何をどのぐらいですか?

:う。。。いや。。。量はすぐには思い浮かびませんが。。。教科書にはよく、ハイドロコーチゾンと書いてありますが。。。(うちの術場にはソルメドしかないなあ)

試験管B:まあ、腹腔鏡下の手術ですから、あまり侵襲も大きくはないですし、様子をみながら、ということですね。(試験管の先生がどうコメントされたかは正確に覚えていない)じゃ、時間ですので、このぐらいで。次の部屋に行ってください。

:ありがとうございました。

第1会場の印象

第2会場もそうであったが、意外に日常臨床の場面でよく遭遇する問題について聞かれた。あまりつっこみが激しくなく、意地悪な感じはまったく無かった。硬膜外に注入した局所麻酔薬が血中に吸収され、気管支痙攣を抑制する、という話しがあったが、後で調べたところ、1999年のRegional Anesthesia and Pain Medicineに、この試験管の先生のグループが報告されていた。ステロイドカバーについては、あまりはっきりと書かれているものがないが、どういう風に答えればよかったのだろうか。

「フェンタ将軍」さん:第2会場

症例:54歳男性。163cm、95kg。腹部真性大動脈瘤で人工血管置換術予定。入院時の血圧180/90、空腹時血糖300、動脈血ガス分析:pH 7.3、PCO2 54、PO2 62、家人によると、就眠時に激しいいびきをかくとのこと。

試験管A:では、この患者さんについて、術前評価、術中の麻酔管理、術後管理についてお聞きします。

術前評価

試験管A:この患者さんの術前評価で気になるところはどんなところですか?

:はい。まず、163cm、95kgということで、肥満です。実際に見てみないと解りませんが、導入時の気道確保や気管内挿管が難しいことがあるので、その点について評価したいと思います。また、術後に上気道閉塞など、低酸素血症におちいりやすいので、注意したいと思います。また、高血圧と、空腹時血糖が300とコントロールが悪いので、時間に余裕があれば、コントロールするように、内科にコンサルトなどをしてもらうようにすると思います。

麻酔管理

試験管A:そうですか。どういう麻酔にしますか?

:硬膜外併用の全身麻酔ですると思います。 (全身麻酔の導入について詳しく聞かれた、プロポフォールはどのぐらい投与するか、など、また、どんなモニターをするかも。それらは省略)

試験管A:人工血管置換術ですから、術中ヘパリンを使いますが、硬膜外の使用に関してはどうお考えですか?

:はい、人工心肺を回すほど投与しないので、このぐらいでは、血腫ができるおそれはあまりないと考えています。いつも使って特に問題とはなっていません。

術後管理

術後鎮痛についてここでも聞かれたが、省略。

試験管B:術後起こりうる呼吸器合併症にはどんなものがありますか?

:はい、肥満の人なので、舌根沈下など上気道閉塞が起こりやすいと思います。また、肥満の人は機能的残気量が減少しているので、低酸素血症に陥りやすいと思います。

試験管B:その他には?

:ええー。。。

試験管B:肺塞栓が考えられますね。

:は、はい。(あ、そうだ)

試験管B:先生のところでは、下肢の静脈血栓の予防は何かしていますか?

:はい、普通は下肢に弾性包帯をまいたりするぐらいです。ヘパリンの予防投与などは普通はしません。

研修医の指導

試験管A:先生の所には、研修医がいますね?術中に、換気ができなくなった、と呼ばれたとき、先生はどうしますか?

:はい。まず、100%酸素にして、人工呼吸器から手動にして、回路のはずれなどがないかどうか、チェックします。酸素の供給がちゃんとされているかも見ます。チューブが閉塞していたりしないかどうかチェックすると思います。

試験管A:まあ、最近のチューブでも、熱によって柔らかくなったりしますからね。

麻酔器具(喉頭鏡と気管チューブ)

試験管の先生が、机の下からおもむろに箱を取り出した。その中には喉頭鏡、気管チューブ、スタイレットが。

試験管A:いつも使いなれていると思いますが、持ってみてください。

:はい。

気管チューブにスタイレットを入れ、左手に喉頭鏡を持ち、右手でチューブを持った。 この部屋はだいたいこれでおしまい。

第2会場の印象

実際に麻酔器具を持ち込んで、というのは聞いていたが、まさか喉頭鏡とチューブが出てくるとは思わなかった。もっといろいろ聞かれたが、忘れてしまった。

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