前回の「チオラミール(イノバン)」は、ローリーと何度も協議した結果、「ニコラン汁」ほどは一般受けしない、との結論に達し、一度はボツにしたネタだった。にもかかわらず、思いのほか大きな反響を呼んでしまった。
数ヶ月ごとに各科をコロコロと回る研修医が、麻酔科なんていうヘンピなところへやってきたら、病棟では見ることもない怪しげな薬ばかり使ってる。そしていきなり勉強会で発表しろといわれて資料を作った。しかもイソゾールなんて(うちでは)今や滅多に使わなくなった薬についてだ。イノバンに関しても、これだけゾロがあふれてる今、彼らにとってはドパミンといえば即イノバンじゃないんである。したがってこの程度の間違いはあって当然と思わなければならない。うちの手術室は研修医がひとりで勝手にイソゾールやイノバンを使えるシステムになっていないので実害はない。サダもこれが学会発表の原稿だったりしたら、ちゃんと教科書で確認したりしただろう。我々の勉強会はサダに甘く見られたのである。ただそれだけのことだ。
危機管理というものは、あらゆるミスを想定することから始まる。だから「思わぬミス」とか「想定外のミス」とか「考えられないようなミス」というのは、そもそも前提が間違っている。そこでどうするかというと、やばそうでヒヤッとした事例(ヒヤリハット)、ミスったけど大事に至らなかった事例(インシデント)を情報として大量に収集し、それを分析・共有することで、初めていろいろなミスの形が見えてくるのである。
僕たち指導医はベテランで慣れているからあまりミスをしない。たとえば1万回に1回しかしないとする。ところがそれゆえ逆にミスの形が見えにくいのであらかじめ具体的な予防策を施すことが難しい。僕らの1万回目のミスは、取り返しのつかないミス、すなわちアクシデントになってしまう確率が高い。そこで研修医の行動をつぶさに観察するのだ。不慣れな研修医は10回に1回の割合でいろいろと怪しげな行動をしてくれる。実はこれは大きな収穫なのである。もちろん僕らが見張っているので大事になる確率は低いが、なるほど、このようなミスが起こりうるのか、自分もいつかやるかもしれないなと思うことがしばしばである。果たして様々なミスの形が明確化され、事前に具体的予防策を施すことができるのだ。
先生はこの数年、自分の研究分野を犠牲にしてまで、医療安全学に取り組み、その間日本医師会医療安全推進者となり、研修医の残してくれた膨大なデータを元に素晴らしい安全対策マニュアルを作成することができた。これも研修医諸君のおかげである。実は研修医は僕ら指導医の鏡なんである。
以上のようなことを書けば、ああ、さすが大先生、前回のエントリーにはそのような深い意味が含まれていたのですね、なんて思われるかなあと思って、無理やり書きました。でも先生は全然そんなこと考えていませんでしたよーだ。先生はただただ、サダの失態をここでさらして馬鹿にしたかっただけです。だいたいうちの連中がどれだけ馬鹿かっていいますとね、
ショウコ:「すごーい、サダ出てたジャーん!いいなー」
サダ:「え、出ちゃったんですか?」(顔を赤くして頭をかくサダ)
S浦:「俺はニコラン汁よりもあのベタな感じの方がずうっと好きですよ。おいサダ、今、全国の医学界がざわざわしてるぞ。やったな、サダ!」
というわけで、自分のところの恥が全国にさらされていることを全然分かっていないみたいっす。
それにしても「チオラミール(イノバン)」(読み:チオラミールカッコイノバン)は衝撃だったなあ。もう先生の頭の中では、さっきから「チオラミール! カッコイノバン!」という男性コーラスの歌ができちゃって延々と流れ続けています。どっかでイソゾールのゾロ作って、チオラミールって名前で出ねえかなあ。
いやあ実によい響きだなあ、「チオラミール(イノバン)」って。で、先生が何でさっきから「チオラミール(イノバン)」って何度も連呼してるかっていうと、実は先生、今度の麻酔科専門医試験で、「チオラミール(イノバン)」って書いちゃったり口頭試問で言っちゃったりする人が出るのをマジ期待してんっすよ。












Comments
国家試験はあるが、判断力がかけてる医者も多いなぁ
もっと研修の年数は重ねないとだめだ もっと指導医の勉強もしたり、わかりやすいテキストにしないとだめなようだ 塾や家庭教師をつけてやっとやっと勉強して医学部に入った人がいきなり専門をやらせたってついていけるわけない 医学部の中でも塾や予備校が必要であろう