
■YouTube - Anita O'Day - Tea For Two
■YouTube - Anita O'Day - Sweet Georgia Brown
いずれも1958年のニューポート・ジャズ・フェスティバルの映像らしい。アニタ・オデイはもちろん、当時の観客たちの服装や手にしているカメラなんかを見るだけでも楽しい映像だ。人々がみな上品に楽しく過ごしていた時代のようでうらやましく思う。いや、単にジャズのコンサートに来た人たちなのだから、そう見えるのは当然なのだろうけど。
アニタ・オデイが亡くなったという記事を目にしたので、思いつくままに書く。とはいっても追悼文とはほど遠い。なにせ、まだ生きている人だったのか、というのが正直なところなのだ。
おれカネ先生が、音楽の嗜好を無理矢理変える話を書いておられたが、音楽好きなら誰しも若い頃にそういうことをした覚えがあるのではないだろうか。私の場合はジャズがまさしくそうであった。私とジャズとの出会いは、ふと耳に入ってきたジャズの曲が好きになったのがきっかけで、などという生易しいものではない。どういうわけだったのかその理由はさっぱり思い出せないのだが、とにかく私はある日突然、今日からジャズを聴くと決心したのだった。
まず、ジャズの名曲百選のような本を買ってきて、何から聴き始めるのかを入念に検討した。ところがその本を読んでいるうちに、一口にジャズといっても、時代の流れや使用楽器の違いなどによって、いろいろとジャンルのようなものがあるということをそのときに初めて知った。そこで、ピアノならこれ、モードならこれ、というように、そのジャンルのようなものを網羅できるように、それぞれについて代表的な作品をピックアップしてレコード屋に行き、有り金を全部使っていっぺんに10枚以上買ったと思う。その中には、例えばオーソドックスなものとしてMJQ、モードも理解せねばと思ってマイルスやコルトレーン、そしてフリージャズとやらも聴いておかねばという強迫観念にかられてオーネット・コールマンなんかまで含まれていたと思う。
今と違ってレコードのアルバムというのは10枚以上も買えばかさばるし重いので、ものすごい買い物をしてしまったような気がしたのを覚えている。その上、こんな若造がジャズの名盤を大量に買おうとしていることにえらく感動したレコード屋の主人が、店に飾ってあったマイルスの大きなパネルをおまけにくれたので、両手が荷物でたくさんで帰るのに苦労したほどであった。
ところで、そのとき女性ボーカルの1枚として私が選んだのは、サラ・ボーンでもなくエラでもなくヘレン・メリルでもなくビリー・ホリディでもなくカーメン・マクレエでもなく、もちろん阿川泰子でもなく、アニタ・オデイの「シングズ・ザ・ウィナーズ」だった。聞いたことのあるいわゆるスタンダード曲が並んでおり、入門としてはうってつけかなと思ったからである。
こうして一度にたくさん買ってはみたものの、初心者がいきなりモードを聴いても理解できるわけがなく(もちろん努力の甲斐あってその後コルトレーンにははまるのだが)、ましてやフリージャズなど一度針を落としただけでその後再び聞くことはなかった。結局一番良く聴いたのが「シングズ・ザ・ウィナーズ」だったような気がする。












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