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● 減塩食への疑問2

高血圧に対する減塩食の効果に疑問を投げかけるシリーズ、先生はディベートの相手を探していましたが、なかなか良い方が見つからず、イントロで終わりかと心配していましたが、やっと専門家からのレスがありましたので第2弾をお送りできます。なお、先生は1日6gどころか、現在でも1日5g以下を実践している超優良患者であることを明記しておきます( 減塩食への疑問参照)。

まず、貴重なコメントいただいた"高血圧もやってる麻酔科医"さんに感謝します。その一部を引用させていただきます。

Sodium reduction and weight loss in the treatment of hypertension in older persons: a randomized controlled trial of nonpharmacologic interventions in the elderly (TONE). TONE Collaborative Research Group.JAMA 279:839-46, 1998

高齢高血圧患者に対して6.1g/日の減塩を行ったところ、controlと比較して、SBP -3.4mmHg DBP-1.9mmHgほど有意に低下しています。残念なことに、観察期間が短いために、心血管イベントには有意差は認めていません。

先生は一律に6g以下に制限することに疑問を呈しています。例えば先生は食塩が過剰に経口摂取された場合、そのうちどれぐらいのナトリウムが消化管から吸収されるのか、そして先生の尿中へのナトリウム排泄能力はいかほどなのか。それらを全く評価せずして減塩するのはいかがなものかと思います。

実体験に基き述べさせていただきますと、減塩する前の先生は、やたら柔らかいうんこを頻回に出していましたが、今は普通の固さのうんこをやっとの思いでふんばって出しています。おそらく吸収されない腸管内のナトリウムによってうんこが水分を保持していたのでありましょう。逆に言うと、過剰なナトリウムはちゃんとうんことともに排泄されていたのです。ふんばってうんこしなくちゃならなくなったことを考えると、減塩は高血圧に良いどころか、かえって脳出血などの危険性が増すともいえましょう。

また、減塩する前の先生は、最低でも1時間に1回はおしっこにいってましたが、どうやら尿量も減ってしまったようです。すなわち、先生は吸収されてしまった過剰なナトリウム分に関しては、類稀な腎機能で尿中に排泄していたのだと考えられます。尿量が減って尿路系の洗浄の機会が失われることを考えると、減塩は高血圧に良いどころか、かえって膀胱癌などの危険性が増すともいえましょう。

少しまじめになりますが、JAMAの大規模研究、やはり効果のある人とない人がいるからこそ、平均してたったの2-3mmHgぐらいの低下なんじゃないでしょうか。それとも皆が2-3mmHgそこそこの低下なのだったら、厳しい減塩生活なんか割に合いません。薬飲んだほうがよっぽど効きます。

それから短期間研究であることに問題を呈しておられますが、それは大事なことです。今のところ、先生の血圧は、減塩開始直後は少し下がったものの、最近は元に戻ってきています。

それでも先生はまだ減塩を続けます。なぜならもう少しこうやって文句を言い続けたいのと、減塩はゲーム性があって面白いこと、そして食べ物の塩味以外の旨みがよく分かるようになってきたからです。

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Comments

高血圧もやってる麻酔科医 | 2006/10/01 01:13
ずっと、あこがれていた教授とdebateができるなんて夢のようです。お言葉に甘えさせていただきます。
>先生は一律に6g以下に制限することに疑問を呈しています。

おっしゃるとおりです。実は食塩摂取制限の効果が大きいのは、食塩感受性が存在する患者と考えられています。(食塩感受性の定義; 7日間の10 mmolナトリウム摂取量から7日間の240 mmolナトリウム摂取量になった時、平均動脈血圧が10%以上上昇している場合を食塩感受性であるとしている1)。
この食塩感受性を持つ人は、どのくらいの割合かというと、高血圧患者を対象とした報告では、まちまちですが50%前後といわれています。
この食塩感受性には人種差が多く、白人での割合は少なく、黒人で多いといわれています。いったい、この食塩感受性とは何か?これは生物が海の中から、陸へとあがってきたときに、海での環境を体内に維持するための酸素ボンベ(食塩ボンベ)的存在と関連しています(RAAS系のことです)。以前は、その生命の維持に重要であった機構が、飽食のこの時代には生命を脅かす機構になってしまったというところは非常に面白い事実です。
>実体験に基き述べさせていただきますと
鋭いご指摘です。もしかしたらそうかもしれませんが、まだそのような報告がありません。エビデンスがないためなんともいえない部分だと思います。
>少しまじめになりますが、JAMAの大規模研究、やはり効果のある人とない人がいるからこそ、平均してたったの2-3mmHgぐらいの低下なんじゃないでしょうか。それとも皆が2-3mmHgそこそこの低下なのだったら、厳しい減塩生活なんか割に合いません。薬飲んだほうがよっぽど効きます。
この点も良く疑問に上がる点であります。2-4mmHg程度の血圧低下なんて臨床的に意義があるのか?これは確かに解釈が難しい問題です。臨床研究の結果は結局massの結果であって、個人の結果ではありません。その点が解釈のlimitationであると考えています。今までの大規模臨床試験の例を挙げると、HOPE試験2)、SCOPE試験3)、ALLHAT試験4)において対象群と比較して、治療群ではそれぞれ、SBP/DBP 3/1, 3.2/1.6 2/0mmHgほどのわずかな差で、脳卒中が有意に32%、28%、15%低下しています。また、VALUE試験5)では2群間の血圧差が2.0/1.6mmHg程度でしたが、血圧の低い群では有意に心筋梗塞の発症が低下したという報告がなされています。以上のことから、massとしての2-3mmHg程度の低下を認めるという結果を、臨床的にたいした治療的効果をもたらさないと考えるのは間違っていると考えています。
また、確かに薬を飲んだ方がよっぽど効果が大きいです。そのとおりです。しかし、食塩制限を加えることによって、降圧薬の量を減らすことができ、降圧薬による副作用を減らし、また、圧迫した医療財政へも好影響を及ぼす可能性もあり、食塩制限はこの点からも重要と考えます。
また、食塩制限の効果は血圧低下だけにとどまりません。
食塩感受性がある患者は昼間血圧に比べて、夜間血圧が高くなると報告されています。通常は昼間血圧と比較して夜間血圧は10-20%の範囲で低下します。しかし、この低下があまり認められない患者は(昼間血圧に比べて夜間血圧の低下が10%以下)non-dipperと定義されており、これらの患者は無症候性脳梗塞や脳卒中のリスクが高くなることが既に報告されています6, 7)。食塩制限はこのリスクの高いnon-dipperという血圧変動パターンを正常のパターンにシフトするという報告8)がなされています。
以上、長々とすみません。

1)Dustan HP: Hypertension [suppl I], I-166-I-169, 1991
2)HOPE: New Engl J Med 2000; 342:145.
3)Hansson L, et al: J Hypertension 2003; 21:875.
4)JAMA 288;2981-2997, 2002
5)Julius S, et al. Lancet 2004;363:2022─31.
6)Shimada K et al: J Hypertens 10: 875-878, 1992
7)Verdecchia P et al: Hypertens 24: 793-801, 1994
8)Higashi Y,et al: Hypertens 30:163-7.1997

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