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パキシルの副作用としての自殺が話題になっている。多くの医師は、自殺はうつ病にみられる症状であるし、治りかけによく見られるものであるから抗うつ薬すべてで注意しなければいけない現象であると考える、だから、自殺を副作用と呼ぶのに違和感を覚える。

ところが、私はSSRIの服用者として、もしもパキシルの自殺が有意に多いのであれば、それは「治りかけだから」という単純な理由では説明できないのではないか、そしてもしそうならば、それは副作用であると言ってよいと思っている。

だいたい人間の気分をセロトニンというたった1種類の伝達物質で説明しようとする方がどうかしていると思うのだが、まあ現在では一応、セロトニン不足は不安や恐怖、強迫観念に関係していると言われる。普段気にならないような、ちょっとしたことで激しく動揺してしまったり、傷ついていつまでもくよくよ悩んだりというようなことがこれに当てはまるのではないだろうか。

そこでSSRIでセロトニンを増やすと、そのような傷つきやすい、おどおどした心にだんだんとカヴァーがかけられてゆく。ちょっとしたことでは動じなくなる。ところがこれが過ぎると、動じなくなるを通り越して、何もかもがどうでもよくなるのだ。実際に私はルボックスのたった50mgへの増量でそのような状態に陥った。外来に患者が残ってようがどうでもいい。私は構わずに自室に閉じこもった。誰かが何とかするべ。

躁転する人もいるようだが、基本的にSSRIは落ち着かせるというか、不安を静かにさせる薬剤である。行き過ぎれば、どうでもよくなって、ある意味、非常に開き直った状況になる。一応、うつでは、いっそ死んでしまいたい、と思うのであるが、それでも一応死んだらどうなるとかうじうじ考えるものなのである。ところが、SSRIが効くと、何もかもどうでもよくなるので、死んだらどうなるなんてこともどうでもよくなり、思いっきりがよくなり死んでしまうのである。であるからして、おそらく、三環系で見られる治りかけとは異なる状態と考えた方がいいだろうと思っている。

おそらく、ルボックスやデプロメールでは効果がそれほど強烈ではないので、あまり目立たないが、強力なSSRIであるパキシルでは、そのような自殺行動が目立ってしまうのではないかと思う。また、パキシルは半減期が長く、パキシル自身に関わる分解酵素を抑制するなど、血中濃度を細かくコントロールするのがやや難しいのも関係しているだろう。

それにしても、どうしてパキシルが「副作用の少ない抗うつ薬」と認識されてしまったのだろう。うちでは皮膚科医や整形外科医など、専門以外の医者が気軽に処方している。実は恐ろしい薬剤であるということをもっと知らしめ、精神科医の元で慎重に投与されるべきであると思う。

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