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● 高橋篤史くん

■アナウンスルーム NHKアナウンサー 高橋篤史

高橋くん

石川県金沢市から北海道に引っ越してきてしばらく経ったある日のことでした。NHKの道内ニュースの時間にカミさんが「高橋くんの声がする」というのです。画面に顔は写らないしテロップもありません。ただ釧路の様子をたんたんと伝えるだけの平凡な若い男の声です。「まさかあ。あの高橋くんが北海道にいるわけねえだろ」と私は答えました。「高橋くん」というのは私たちが金沢市に住んでいたときにNHKに入ってきた若いアナウンサーで、ほとんど石川県の地味なローカルニュースにしか登場しない子でした。失礼かもしれませんがけっして全国向きのルックスではありません。はっきりいってテレビ向きでさえないかも。しかし、そんな地味さがかえって心にひっかかり、いつしか私たちは彼のことを「高橋くん」と呼ぶようになったというわけです。

いや、待てよ、10月といえば人事異動の時期。異動するのは私たちだけとは限らないわけで、考えてみればNHKのアナウンサーである高橋くんが異動しているって可能性も否定できないわけです。そこでさっそくアナウンスルームで高橋くんの動向を確認したのです。果たしてそこで見たのは「前任地:金沢放送局」と「所属局:釧路放送局」という文字でした。なんと、私たちの高橋くんは、私たちと一緒に金沢を発ち、そして私たちと一緒に北海道に入っていたのです! ただし、私たちの頭を飛び越し過ぎちゃって釧路にまで行ってしまいましたが……。

わたしの宝物:『お笑い男の星座』という文庫本

これって浅草キッドの本ですよね。数ある物の中から、数ある書籍の中から、その本を選ぶなんて……。

アナウンサーになって印象に残っている仕事・瞬間:中継中にハチに襲われたこと。ハチミツ取りの中継の最後で眼鏡と目の間にハチが入り「うわっ!!」と思わず叫んでしまいました。その日から局の人たちは私のことを「ハッチ」と呼んでくれます。

朝の石川県のローカルニュースで、カミさんはこれをリアルで見ていたそうです。ちゃんとハチよけの網を頭からかぶって中継していたのですが、養蜂家が巣箱を開けたとたんにミツバチの大群が舞い上がり、その中の一匹が網の中に入ってしまったそうです。高橋くんの狼狽と奇声とともに、途中でカメラはスタジオに切り替わったそうです。

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