先生は最強のロックンロール・ソング10選という企画に参加したいがために、ロックンロールについて書き始め、これがシリーズ化しました。もう遠い昔のことなのでお忘れかもしれませんが、以下の2つの記事がそうです。
■お前ら、これがロックンロールだろ!(黄金の50年代10選)
そして今回がシリーズ第三弾なわけです。かなり間が空いてしまいました。だいたい七ヶ月ぐらい経っているわけです。なんでそんなスローペースかというと、なぜ「ロック」ではなくて「ロックンロール」なのかというただ一点について考え込んでしまっているからです。しかも先生は実は、「先生が思っているロックンロールという音楽」のことが大嫌いなのです。大嫌いなものについて書くのですから、筆が進まないのも無理はありません。
前2編を読んでいただければ、先生にとってロックンロールとは「ブルースコード進行を基本とした12小節単位のテンポの早い曲」であることがお分かりいただけると思います。単純に「男っぽい」とか「ガッツだ」とか「ダダダダダって感じで早い」とか「ギター・ベース・ドラムのみ構成がシンプル」とか「社会に対して反抗的」とか、そんな抽象的な話ではないのです。
前回は1950年代の終わりまでお話しましたので、今回は1960年代にいきましょうか。いや、いけません。いけないのです。どうしてかというと、歴史的にはロックンロールなんて音楽は1960年には消滅してるからです。1950年代の終わり、立役者であったエルビス・プレスリーは徴兵されて戦争に行っちゃうし、リトル・リチャードは引退して牧師となり、ロックンロールは悪魔の音楽だと言っちゃうし(後に復帰しますが)、ジェリー・リー・ルイスは13歳の又従妹との重婚がスキャンダルとなり、バディー・ホリーは飛行機事故で死亡、チャック・ベリーは14歳の子に売春を強要したとして逮捕され、エディ・コクランとジーン・ヴィンセントの乗ったタクシーは交通事故に遭い、コクランは死んじゃうし、そして、ロックンロールという言葉の生みの親、頼みの綱のアラン・フリードも汚職事件で第一線を退いてしまいました。
というわけで1960年にはすでにロックンロールのスターたちは誰も表舞台にいないということになります。そしてアメリカの音楽シーンはポール・アンカとかのポップアイドル、フィル・スペクター一派、モータウン一派なんかが隆盛を誇ることになります。以上、終わり。
え、じゃあビートルズは? ストーンズは? って話になると思います。ロックンロールの灯火はアメリカでは消えてしまったのだけれども、海を越えてイギリスの若者たちの間に飛び火していたのです。でも先生は、ビートルズやストーンズをロックンロールバンドと呼ぶには抵抗があります。確かに彼らはロックンロールが大好きで、チャック・ベリーやリトル・リチャードを尊敬していましたが、ロックンロールと呼ぶには彼らの音楽は幅広すぎます。
イギリスに飛び火したムーブメントはブリティッシュ・ビートとかマージー・ビートと呼ばれましたが、ここでアメリカのアラン・フリードに対応する人はアレクシス・コーナーでしょう。彼自身ミュージシャンでしたが、彼はいわゆるR&Bオタクで、多くの若者が彼の周りに集まってR&Bについて学んだというわけです。
そうして出てきたのがまさにローリング・ストーンズであって、彼らはロックンロールというよりは、さらにその源流であるR&Bに大きく影響されています。紙面の都合上ひとくくりにしてしまって申し訳ないのですが、ヤードバーズもR&B派ですし、その後この流れはクリームやツェッペリンに受け継がれ、ブリティッシュロックの繁栄をもたらすことになります。つまり、ロックンロールだけに影響を受けたのであったならば、ブリティッシュロックなんて誕生しなかったであろうし、彼らがその背後にある大きなR&Bの源流を一緒に受け止めたからこそ、ロックの歴史に革命がもたらされたのではないでしょうか。

先生はロックンロールのことを音楽的には「12小節単位のブルースコード進行」と定義しましたが、ファッション的には皮ジャンに長髪(リーゼント)と定義されます(この辺もロックンロールとロカビリーは違うとか細かくうるさい人がいますが)。ところが当時のイギリスの若者たちの間では、短めで前髪を下ろしたモッズカット、オシャレな細身スーツ、ミリタリーパーカー、ヴェスパのスクーターといったアイテムで描かれる「モッズ」というサブカルチャーが流行っていました。しばしばメディアはこれをロックンロールと対比したがります。ザ・フーはモッズを代表する人気バンドですが、先生のバイブルであるRock and Roll Hall of Fame and Museumのパンフレットにも、次のような一文があります。
The Who didn't just play rock and roll...
ロック殿堂博物館がザ・フーはただのロックンロールを演奏しなかったと言ってるのですから、先生はロックンロール10選に間違ってもザ・フーは入れません。ちなみにこのパンフレットの表紙に写っている派手な青い靴はザ・フーのドラム、故キース・ムーンのものです。今日はここまで。まだまだ続けていい?



Comments
細かいツッコミですが、ロックンロール誕生を知るための10選、黄金の50年代10選を楽器の面からツッコミます。
ロックンロール誕生を知るための10選
Ike Turner/Jackie Brenston - Rocket 88 (1951)のトップ画像は間違いなく60'sです。
持っている白いStratoasterは60~64年の仕様です。
全て50年代の曲は御意ですが、楽器でバレたりします。
Chuck Berry - Johnny B. Goode (1958)
これも限りなく怪しい。
Chuckの使っているES-335のブロックポジションは60年以降だし、ビグスビーがファクトリーオリジナルならサーフロックが流行った60年代中程から。ベーシストもFenderのローズ指盤だし、背景にGOGOとかあるし、時代は60年代でしょうよ。
反対に、Carl Perkins- Blue Suede Shoes (1956)は時代ピッタリ。
レスポールスタンダードにtune-0-maticのブリッジにソープバー。翌57年からハムバッキングになっちゃうし、56年を新品で使用ですねえ。
Buddy Holly Live in New York With Peggy Sue (1959) こちらも、ほぼ同年代。
昔、何かのインタビューで読みましたが、御本人がアメリカで買ってきたんですよね。
「ロックン・ロール」という形式にこだわったうえで、60年代以降どんなものが出てくるのが楽しみなような怖いような。
>まだまだ続けていい?
イェー!!(←頭悪そうですね。すみません)
(16日は私、さいたまアリーナです)
しかしアメリカに目を転じれば
62年にビーチ・ボーイズが“Surfin' Safari”でデビューしておりますよ。
ここで名盤“All Summer Long”収録のロックンロール賛歌“Do You Remember?”を
http://jp.youtube.com/watch?v=qeJ5aqOXsME
歌詞はこちら
http://www.sing365.com/music/lyric.nsf/Do-You-Remember-lyrics-Beach-Boys/B9424B400ADD1547482569820027CE62
p.s.
教授がロックンロールが嫌いなのは、世代的に
「ロックンロール=横浜銀蝿みたいなの」
という印象があるからではないでしょうか。
私はそうです(笑)。
ばらしちゃいけません。それは次回作の結論そのままです!
ちなみに先生はなぜかこれは大好きです。65年ですけどね。
http://jp.youtube.com/watch?v=WqKi_9p1zks
いい曲ですよね。
同じく“All Summer Long”収録曲です。
直接関係ありませんが、
映画「ウッドストック」でスライ&ファミリーストーンが熱唱する名シーン、
名画座で見た字幕
「モーター モーター モーターサイクル ホーンダー!」
というのも、上記楽曲と同じくアメリカにおけるホンダの偉業を反映しているのかと一時期思い込んでいました。
後にまったくのウソ字幕だと先輩に聞いてショックを受けた覚えがあります。
だからいまだに曲のタイトル“I Want Take To You Higher”を思い出そうとすると“Moter Take To You Higher”かと思っちゃう。
p.s.
やっぱり(笑)。
To Take Youですね(恥)。
> “Moter Take To You Higher”
こっちは Take You でした。
いやその前に Motor だろうよ(笑)。